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2006年7月24日 (月)

宇宙への夢

日本では現在液体燃料のHーⅡAと固体燃料のM-Ⅴの2種類のロケットを使って衛星の打ち上げを行っています。基本的に実用衛星はH-ⅡA,科学観測衛星はM-Ⅴと使い分けています。M-Ⅴロケットは固体燃料ロケットとしては最大級の1.8トンの衛星を打ち上げる能力をもっていますが、液体燃料ロケットと比較してメンテナンス性に優れています。逆に打ち上げ時の振動と加速度が大きいのが欠点と言われ、現在我国以外に固体燃料の大型ロケットを運用している国は無いようです。この2種類のロケットを使い分けることによって安全性の確保から打ち上げの時期に制約の多い我国でも1ヶ月の間に3機のロケットを打ち上げることが出来るようになりました。

ところが、先日JAXA(宇宙航空研究開発機構)はM-Ⅴの運用を今年度限りで打ち切り、後継機種を開発すると表明しました。技術の進歩により衛星が小型化されてM-Ⅴではオーバースペックになり打ち上げ費用が無駄になるとの理由です。以前にH-ⅡAのブースターをメインエンジンに転用したJ-1ロケットの構想がありましたが、いつの間にか開発中止になっていました。今度はそのリメイク版になるようです。

日本の宇宙開発は先行した東大の宇宙科学研究所の固体燃料ロケットと科学技術庁の主管する宇宙開発事業団の液体燃料ロケットの両輪で進められてきましたが、アメリカによる締め付けによって技術の立ち遅れが大きく、アメリカがアポロ11号で有人宇宙船を月面に着陸させた1969年にはまだ衛星を打ち上げることすら出来ませんでした。翌年やっとテレメーターだけを積んだ衛星でしたが、国産初の人工衛星の打ち上げに成功した時は、日の丸衛星成功と日本中が沸き立ったものでした。この時は軍事転用を心配する世論を考慮して無誘導の打ち上げで、重力ターン式と呼ばれる独特の方法で衛星軌道に投入したものです。今から思えば精密誘導以上に大変な技術だったと思います。他国の場合、宇宙開発は軍事技術、すなわちミサイル開発と一体で行われてきました。その中で限られた予算で純粋にロケット開発をしてきた日本の現在の打ち上げ能力は、素晴らしいと思います。

現在のロケット技術の頂点はアメリカのスペースシャトルだと思われて来ましたが、断熱タイルの脱落が根絶できず、安定的な運用が危ぶまれて遠からず次期モデルへの転換が図られようとしています。このような中でのM-Ⅴロケットの廃止は経済効率を求める上ではそうなのかも知れませんが、技術の進歩・維持の観点からは素直に賛成できません。アメリカが月に人間を送るロケットを開発した時に、安易にその技術を導入せず(アメリカも極秘技術は決して供与しませんが)、あえて技術的に遥かに劣る固体ロケットで人工衛星に挑戦したあの心意気をもう一度みせて欲しいものです。

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