秘密基地
最近は山小屋に泊まることがほとんどありませんが、かつては夏山シーズンが終わって管理人が下山し、期間外開放となった小屋をありがたく利用させてもらい、南アルプスの秋山登山を楽しんだものです。
写真(30万画素のため画質が悪いのはご容赦下さい)の小屋は南アルプスの前衛のそのまた前衛の杉ノ沢山(仮名)にあるモミジ小屋(仮名)です。ここは某職域山岳会が管理し、手作りの薪ストーブに盛大に枯れ枝を燃やして、山男が宴会を楽しむ隠れ宿のような山小屋です。モミジ小屋は沢沿いにあるため、水は豊富ですし回りは広葉樹の疎林で枯れ枝を集めれば薪にも不自由しません。一般のガイドブックには記載されていないので訪れる人も限られていて静かな一夜を楽しむことが出来ます。但し夏場はダニやヒルに要注意です。本当の名前で検索をかけたら相当数のサイトが出てきましたので、結構有名な存在になっているのかも知れませんが、次のようないきさつがあるため、今回は仮名とさせてもらいました。
元々は国有地を借りてワサビ田が作られ、それの管理小屋として建てられましたが、いつしかワサビ田は放棄され、荒廃していたのをたまたま杉ノ沢山に登山した部員が見つけ、手を入れて使っていました。周辺の登山道も私的に整備してプライベート小屋として、地元山岳界に知られるようにもなりましたが、ある日営林署の知るところとなり国有地の無断使用として大問題になりました。しかし地域柄、山が深く道に迷った遭難者がこの小屋によって生還できたことが考慮され、避難小屋として存続が認められて今日に至っています。
杉ノ沢山は、かつては稜線に猛烈な笹が生い茂り、登山者の入山を拒んでいましたが、笹の勢いが衰えたのと大幅に人の手が入って今では一般道からはハイキングの領域の山となっています。ただ、小屋への道はわかり辛く、小屋から杉ノ沢山に登った部員が経験者にもかかわらず、下山時に分岐点を見逃して下の林道まで下降してしまい、2時間近くかけて登り返すという笑い話も残っています。
私は単なるゲストで、ここ何年か訪れていませんが、落ち葉の季節になるとこの小屋のことが懐かしく思い出されます。
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