なんとかならないの?
鳥インフルエンザも宮崎、岡山両県で終息が宣言されて一安心となりましたが、今回の騒動で気になっていることがあります。大陸から飛来する渡り鳥がキャリアとなってウィルスが伝播すると考えられることから、防疫の為に鶏舎を外界から遮断する必要があります。一方各地の地鳥など美味しい卵や鶏肉は感覚的には屋外での地飼いの方が良さそうです。ニュース映像で見る限りでは地飼いでも頭上には防鳥ネットが施してありましたが、野鳥の糞までは防げないように思えます。
高付加価値の食料確保か安全性の確保か二律背反の問題で生産農家はさぞ困っていることと思います。また先日は鶏のヒナを生産していた福岡県の業者が最初の鳥インフル以来需要が減退し、業績悪化で自己破産に追い込まれました。国民の食、健康の問題ですから、もう少し官のバックアップがあっても良いのではないでしょうか。柳沢さんや松岡さんに大いに期待したいのですが、どうなんでしょうか。
| 固定リンク
コメント
国が十分な支援できない訳は、その客体の多さにあります。養鶏場の数もさることながら、その裾野が広く、1経営当たり500羽の自然派零細養鶏から30万羽を超える大農場、数百万羽をかかえる大企業もあります。
ネットや消毒薬にかかる費用の補助は既に実施していますが、経営となると個人によってとらえ方が異なるので、一律支援は困難です。国、関係団体が協力して、家畜互助基金を創設、鳥インフルエンザ等の伝染病が発生した場合、死亡や殺処分した鶏の損害額(殺処分鶏は法的補填のある3分の2を除く金額)を加入者に補填しています。これも、実際に伝染病に罹っていないとだめで、今回の福岡県の様に余波で倒産となると無理です。しかし、経営維持支援資金等の低金利の融資があるので、これらを活用してなんとか再建してもらいたいものです。
現在、国内で鳥インフルエンザのワクチン開発・製造が急ピッチで進んでいます。近いうちにワクチン接種による予防が可能になるかもしれません。
それから、外で飼われている鶏の肉や卵が健康に良さそうと言うのはイメージだけです。栄養価では全く違いがありません。鶏にとっても品種改良により過保護が必要な品種もおり、そんな鶏を屋外で飼えば、一発で病気になってしまうでしょう。地鶏は昔ながらの在来鶏種とシャモとのかけあわせがほとんどで、野生に近いので屋外飼育に耐えられるのでしょう。
健康に良い畜産物を作るためには家畜飼養管理基準(農水省のHP参照)を遵守し、動物用医薬品等の使用を適正に行い、畜産物内への残留を防止することが重要です。
投稿: 山奥 | 2007年3月 7日 (水) 06時37分
山奥さん、中身の濃いコメントをありがとうございました。かつて京都で鳥インフルが発生した時、隠蔽しようとしたとして糾弾された養鶏業者が自殺した痛ましい事件が起きました。以後業者の自己申告によって被害が拡大する前に効果的な対策が取られているように思いますが、養鶏業者の善意によって日本の養鶏がかろうじて守られているのではないでしょうか。今回の宮崎の発生でも近隣のもう1,2箇所で発生してしまっていたら大混乱に陥っていたのではないかと思います。
鶏卵、鶏肉は庶民の手軽な蛋白源として貴重な存在だと思いますが、小泉政権以降規制緩和の掛け声の下、行き過ぎた価格競争を強いる風潮が強まってしまったように思います。食糧安保の観点からから言えば、エタノール燃料の拡大に伴って、主要な飼料であるトウモロコシの価格の高騰が懸念されます。長期的に安定して飼料を確保するのは利益追求が第一の商社ではなく政府の役割ではないでしょうか。
幼少期、家では祖父が鶏舎内の放し飼いで白色レグホン(多分)を10羽ほど飼育していました。肉を日常的には食べることができなかった当時、たまに解体したニワトリを食べることができました。今から考えると廃鶏も食用として売っていたことからおそらく病死した鶏を食べていたのではないかと思いますが、なんとも美味だったことが今でも懐かしく思い出されます。
最近ではブロイラーが安い鶏肉の主流だと思いますが、値段を構わなければ地飼いの地鶏の方が美味しいに決まっています。零細な生産者が経営破綻の心配なく、良質な鶏卵、鶏肉を安定して供給できるような仕組みが出来ないものかと切望する次第です。
投稿: 雨辰 | 2007年3月 7日 (水) 21時00分
農業は商業、工業と同様に経済の根幹を担うものです。零細、大規模関わらず、法律の下では皆一律です。農業においても様々真な法令の規制を受けています。異常が認められた家畜の速やかな届出は、家畜伝染病予防法で定められているもので、京都での発生事例における飼養者が罰金刑に、茨城での発生事例における農場の管理獣医師については、届出を怠ったということで現在裁判中です。
飼料の大半を輸入に頼る日本において、バイオエタノール需要高によるトウモロコシ等の価格の高騰は、畜産経営を直接圧迫するものです。しかし、畜産物価格の据え置きから切りつめる所が無いギリギリの経営状況の中で、倒産する農場も出てくることでしょう。では、国が何もしていないのかというと、畜産物、飼料の輸入においてはご存じの通り関税がかかります。この関税は国の交付金の財源となっています。めぐり巡って、国内農業の振興に使われているのです。
国内で生産される鶏肉、鶏卵はHACCPをクリアした世界トップレベルの安全、安心なものです。価格的に安定した畜産物を供給するためには、自然養鶏や屋外飼育のような環境要因や疾病の侵入の影響を受けるものばかりでは、到底クリアできるものでは無く、現状の様な無窓鶏舎等による徹底管理された経営もやむなしと考えます。
投稿: 山奥 | 2007年3月 8日 (木) 07時37分
山奥さん、重ねてのコメントありがとうございます。農業は国民の食料を供給する大切な産業です。いかに輸出で多額の外貨を獲得したとしても、産農産物の産出国が輸出に応じなければ我国は干上がってしまいます。自給率の低さは危機的とも言われています。なのに場当たり農政によって農業人口は減少、高齢化の一途を辿っており、農地も減少し続けているのが実情です。我家の周辺にはマンションオーナーになった高齢の農業従事者が数多く存在しますが、ジュニアが田畑に顔を出すのを見たことがありません。当主がリタイアすれば休耕するのは必至です。農業が展望の持てる産業として認知されない限り食料自給率が好転することも無いでしょう。それだけに福岡の孵化場の自己破産はショックでした。
投稿: 雨辰 | 2007年3月 8日 (木) 22時00分