天下泰平のように見えますが・・・。Ⅱ
愛知県での立てこもり事件にビックリです。警察官が撃たれたのに5時間も救出されずに現場に放置されました。我国でも諸外国を見習って、この種の事件に対応するSATなる特殊部隊が設置されていますが、日頃の準備、訓練はどんな状況だったのでしょうか。たった一人の実行犯の銃撃を恐れて救出を躊躇するのなら、更なる修羅場に対応できるのか装備を含めて事前の想定が甘すぎるのではないかと思います。更に救出作戦中に殉職者まで出してしまいました。あの浅間山荘事件の悲劇が再び起きてしまったのです。国民の為に殉じられた隊員とご遺族に謹んでお悔やみを申し上げます。
かねてから武装工作員がテロを目的に我国に侵入した場合の対応力不足が指摘されてきましたが、この事件で現実のものとなってしまいました。武力攻撃が明白であれば自衛隊の任務になるのでしょうが、人質を取られたりした場合、今のままでは警察は手をこまねいているしかないのでしょうか。我国では容疑者を出来るだけ怪我をさせないで逮捕する方針が取られていますが、時には周囲の人命を尊重して武力制圧することも考慮されるべきではないでしょうか。
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コメント
犯人の投降によって一応事件は終結しました。しかしこの事件が残した課題は数多くあります。
その1:初動で警察官が撃たれて重症を負いながらその救出が6時間近くかかってしまったこと。現場には直ちにSATが到着していたはずです。ところが事件の指揮は最後まで一般犯罪を担当する捜査1課が担当したようです。容疑者逮捕後の会見で救出が遅れたことを問われて、現場が混乱していたと発言しましたが、関係者としての能力を疑います。当然この種の事件では状況が流動的で突発的に事態が急変することは最初から予測されていた筈です。また2次的被害を恐れたとのことですが、SATでは当然この種の事件に供えた装備を保有している筈です。部隊の性格上装備については原則非公開となっているようですが、各SATには防弾仕様の車両が配備されているとのことです。このような車両を使用すればもっと早く負傷者を救出出来た筈です。警察官は首に被弾したようですが、この間の治療の遅れが後のクオリティライフに影響が無いことを祈るのみです。
その2:負傷者救出に際してSATが全面に出ながら、何故陽動作戦を用いなかったのかと言うことです。バカ正直に正面から進出すれば、相手の銃撃を受けるのは必然です。相手は一人なので当然背後、又は側面から銃撃を加えて注意を惹き付け反撃できない状況を作って行動すればもっと安全に作戦が行われた筈です。凶弾に倒れた隊員の直前の映像では援護射撃用の小銃を構える姿が映っていました。せっかくの装備がありながら有効に活用させる指示を出さずに、あれほど恐れた2次被害を自らの誤判断で発生させてしまったのです。
その3:現在我国では不法に銃器を所持することが禁じられていますが、暴力団を中心に全国で5万丁の銃器が保有されて、犯罪の道具として使われているということです。そして近年特に銃器を使用する犯罪が増加傾向にあり市民生活の大いなる脅威となっているのです。しかるに今回の警察の対応を見る限り、容疑者の無傷逮捕を最優先しているように思われます。何も直ぐに強攻策を取れという訳ではありませんが、これでは何をしても生命の安全は保障されているという誤ったシグナルを犯罪者に与えてしまわないかと言うことです。容疑者との交渉では相手を刺激しないことが優先されるのは理解できますが、被弾すれば死ぬかもしれない拳銃を平気で発射した相手に対し「貴方」と呼ぶのはどう考えても釈然としません。これでは殉職した隊員も浮かばれないのではないでしょうか。
今回はたまたま最小の被害者だけで済みましたが、相手がもっと攻撃的な行動を取れば更に被害者が出た可能性もあります。また最近は拳銃だけでなく、機関銃や手榴弾まで保有しているケースもあると言うことです。この種の事件では相手を圧倒する人員、火器が無ければ事態を膠着、悪化させる可能性があります。残念ながら悲しいケーススタディとして次の事件に教訓として生かすことこそ今回の事件の被害者となった方々に報いる唯一の方法ではないでしょうか。
投稿: 雨辰 | 2007年5月19日 (土) 22時06分