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2007年8月29日 (水)

拝啓、上川少子化担当大臣殿

上川大臣殿、本日またしても奈良県で妊婦が受け入れ先の病院を断り続けられた挙句、救急車の要請から受け入れ先の病院到着まで4時間程を要してしまい、結果流産する事件がありました。奈良県では昨年も出産中の妊婦が意識不明になり、19の病院に受け入れを拒否された挙句に死亡する事件があったばかりです。我国では出生率の減少で人口そのものが急激に減少することが危惧されています。なのに政府、行政の無策ぶりは目を覆うばかりです。

現在の社会体制を維持しようと思えば、人口の維持が求められますが、誰もが安心して新しい命を設けることが出来るごくごく当たり前のことが実現できなくて、明るい未来などあろう筈もありません。昨今は医療訴訟を恐れて産科、小児科医が減少し続けていると言う憂うべき状況も続いていますが、抜本的な方策が示されることはありませんでした。

国民には少子化担当相としての具体的な成果が全く見えてこないのです。少なくとも医療先進国を標榜する我国で、救急車の受け入れ要請をいとも簡単に拒否する周辺医療機関が10指に余る事態など容認されて良いはずもありません。即刻奈良県に乗り込んでこのような恥ずべき現状を是正すべきと考えますが、如何お考えでしょうか。まさかこの事態をご存知無いということはいくらなんでも無いでしょうね。

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コメント

薬価や診療費用、不規則な診療時間の問題等で産婦人科、小児科の個人病院は減少傾向にあります。私の実家は小児科の開業医で、兄弟も小児科を開業しています。夜中の急患の診療対応は本当に大変で、体力が無いとできません。実家は病院と居住区が一緒でしたから、夜中の電話に高校生の私はイライラしたものでした。
受診する患者サイドではホームドクターとして個人病院のニーズは高いようです。しかし、今の個人病院は病院と住居を分ける傾向が強く、診察時間外は電話も繋がらない所すらあります。急患に対応するため、自治体では休日診療態勢として当番制や休日夜間診療所を設けたりしています。
産科医院では、正常分娩には対応するものの、少しでも異変があれば総合病院へ転院させるところが多く、その対応に疑問を感じます。
(我が子の出産時も血液検査の数値に異常が認められたことを理由に個人病院から総合病院へ転院を強いられました)
では、総合病院ではといえば、中核となる病院以外では産科、小児科ともにニーズが少ないため経営面から非常勤医師で対応しているところも少なくありません。これらの先生は他の病院や大学病院と掛け持ちしていることも多く、急患の対応は不可能です。
しかし、病院サイドの問題ばかりとは言えません。患者サイドもかかりつけの医師と急病時の対応を話し合って置く必要があります。
(今回の不幸な事故はかかりつけの医師がいなかったため、受け入れ先の病院の紹介ができず、たらい回しになったことも一因です)
確かにどんな人でも公平な医療が受けられる体制の整備が必要ですが、医療を受ける側も自分のことばかり考えるのではなく、今の医療現場の実態を理解した上で自分の対応を考えておくべきです。
つまり、自宅出産を希望する人が多いですが、このリスクを良く考えておくべきです。医療行為が制限された助産婦で対応できる範囲は正常分娩に限られており、万が一の場合はどうにもならないのです。自宅出産を希望する場合であっても産科医院を受診し、医師に自宅出産の希望を伝え、非常時の対応を話し合っておくべきです。
小児科についても病気をしないからといって予防接種も内科で診療を受けるのではなく、きちんと小児科を活用し、有事に備えてかかりつけの医師を確保すべきです。
患者サイドのニーズは多種多様で行政サイドが全てに対応することは不可能です。賢い患者となることも必要であると私は考えます。

投稿: 山奥 | 2007年8月30日 (木) 07時10分

山奥さん、コメントありがとうございます。
妊娠が判明した時点で主治医を決め、定期的に検診を受けるのは当然だと思いますが、奈良県の現行のシステムでは急な異変に襲われた妊産婦を救済することは出来なかったようです。現行システムでは主治医をキーマンに受け入れ病院を検索するようですが、これでは妊娠初期で検診を受ける前に異常が発生するケースや他地区から来訪中に交通事故や体調不良に拠って容態が急変した場合には対応出来ないように思います。

全ての責任を医療関係者や行政に帰するつもりはありませんが昨年8月に不幸な事故があったばかりなのに、何ら有効な手立てを取らない、取れない行政の責任は重い物があるのではないでしょうか。今回のケースでは結果的に時間を浪費してしまいましたが、3時間あればヘリコプターで首都圏の病院への搬送も可能でした。医師不足の解消は担当部署に任せるとして、患者を効率的に搬送する方法を日頃からもっと研究すべきではないでしょうか。私の地元でもペットのための診療施設が24時間体制で開業していますが、肝心の人間が医療にかかれないとはどう考えてもアンバランスです。

医療問題は本来厚労省の領域だとは思いますが、前少子化担当相の高市氏は同じ奈良県選出の議員です。地元で起きた不幸な事件を全く教訓に出来なかったのは氏がパフォーマンスばかりを追いかける小泉チルドレンである限り、ある程度予想された事ではありますが、今日ほど少子高齢化の弊害が問題視されていながら、政治家の問題意識の低さに腹が立ってなりません。

地域の医療は山奥さんの実家のような開業医が底辺をかろうじて支えているのが実態でしょう。しかし中小の市町村では公立医療機関でも医師不足で産婦人科の閉鎖が相次いでいます。人間として当然の子供を造る権利が大都市周辺部では認められないというのは、先進国に属する国の実態としてはまことに恥ずかしい限りです。

豊かさを実感できる社会として安心して出産出来る環境の実現と言うのは、少々次元の低い話ではないかと思いますが、これが悲しいかな我国の紛れも無い現実です。

投稿: 雨辰 | 2007年8月30日 (木) 22時34分

日本の医療事情の一つに「紹介制度」があります。かかりつけの医師から転院する場合は、その医師の紹介状が必要となるものです。的確な診療、無駄な検査の排除等からこの制度を否定するものではありませんが、これが緊急を要する救急救命医療に適応されてしまうのはいかがなものかと思います。
今回の事例もかかりつけの医師からの指示がなかったためたらい回しになってしまい、結果、奈良県から離れた大阪府の病院へ搬入されることになりました。府県で整備されていた救急患者搬入システムもこのかかりつけの医師がありきの中での物らしく、例外ケースであったことが行政関係者の記者会見で述べられていました。
救急病院を指定してしまうと、そこの医師や看護士に莫大な負担がかかります。そのため、尻込みしてしまう病院も多いはずです。勤務医師や大学病院医師は薄給で診察に当たっており、全く割に合わないことから、多くの医大生は将来的に内科、皮膚科等、緊急性を要しない部門の開業医を希望しているようです。
少子化による産科、小児科開業への不安もあります。

24時間体制の動物病院は、ペットにお金の糸目を付けない飼い主が多い都市部に限られています。他の地域では勤務する獣医師の給料を払えるだけのレベルのペット(飼い主)が居ないからです。ただ、地方でもかかりつけの動物病院が急患に対応しているところはあります。

政府は医大や獣医学部の定員を増大し、医師不足を解消したいと言っていますが、いずれも不足している部門へは流れていかず、結果、人気部門の競争激化を招き、廃院する病院の増大や医療水準の低下が顕在化することが憂慮されます。

今後、米国のような医療格差が明確に見られる社会に成る可能性もあります。ワンコみたいに手厚い医療を受けたければ、人間もそれだけのお金を用意しなさいってことになるでしょう。

高市早苗なんて、リップサービスだけの芸能議員と思っているので、はなから期待していませんでしたが、在任期間中、何かやってましたっけ??桝添さんが改革してくれることを期待しています。

投稿: 山奥 | 2007年8月31日 (金) 06時13分

山奥さん、切れ味鋭い辛口コメントありがとうございます。全く同感です。無秩序な規制緩和、競争奨励の中で、金にならない部分の切捨てが進行してしまっているようですね。
先のペット病院ではワンコの口の周りに炎症が出たので受診したところ、食物アレルギーの疑いありとの診断でアレルゲンの特定の為の血液検査に2,3万円かかりますと告げられビックリしました。ペットブームの中、世間では驚くに値しない金額なのでしょうか。ネットカフェ難民なる若者が2,3千円の宿泊代が負担できずに24時間営業の飲食店に寝泊りしている話を聞くに付け、このようなアンバランスな状態に首を傾げるばかりです。

絶対的な医師不足の中、今までは中小の自治体がかろうじて公的医療機関を運営して社会的弱者の受け皿になっていましたが、財政問題や慢性的な医師不足によって在職者に更なる負担が増すことによる負のスパイラルによって病院の閉鎖や診療科の廃止、質の低下が進んでしまっているようです。

救急医療に関しては都道府県単位で救急センターを設置する体制のようですが、人口配置や財政の関係で今回の奈良県のように人口の少ない地域が取り残されてしまっています。政治の世界ではかねてから道州制が議論されていますが、医療に関しても無理に地域割りにせずに、高速道路網の拡充も進みつつあることからブロック制を取り入れ、広域な範囲で救急患者を受け入れるようにすれば今よりは柔軟な運用が出来るのではないでしょうか。

また離島などでは従来から海上保安庁や自衛隊に緊急輸送を依頼していますが、内陸部においても緊急時には、ためらい無く使える機材を活用すべくヘリの出動を要請しても良いのではと考えます。

投稿: 雨辰 | 2007年8月31日 (金) 11時12分

(孫レスですみません。)
一分一秒を争う場合、搬送時間が長くなることは救命率を下げることになります。
今の救急救命士の処置の範囲は制限されており、やっと気管装管ができるようになったのがつい最近のこと。ドクターカーも限られた救急病院でしか対応できていません。
オーストラリアの様なドクターヘリやドクターカーの整備があってこそ、ブロック制が生かされるのではと考えます。
私個人としては中核となる消防署に医師を配備するとか、地方自衛隊基地に配属の医師を活用したドクターカー、ドクターヘリの出動に迅速に対応できる体制になればと願っています。

投稿: 山奥 | 2007年9月 1日 (土) 05時53分

山奥さん、レスポンスの良いコメントありがとうございます。足らざるを増やす努力は当然ですが、憂いているばかりでなくどう補うかに知恵を絞るべきだと思います。浜松市も昨年の広域合併で山間部まで市域になりましたが、設備の整った医療機関のある中心部まで車の移動では2時間近くかかってしまいます。これでは一刻を争う事態には手遅れです。市内にはドクターヘリを保有している民間病院もありますが、県の防災ヘリや自衛隊のヘリを日常的に救急活動に使える仕組みも考えておくべきだと思います。住んでいる地域によって救命率に大きな差があるようでは豊かな社会(最近日本の現状に疑問を感じてしまいますが)とは言えませんね。

それにしても奈良県では昨年の事故まで産婦人科医の正確な人数を把握していなかったとのことですが、現状把握さえ出来ていないのでは後は推して知るべしと批判されても仕方ないですね。

投稿: 雨辰 | 2007年9月 1日 (土) 06時37分

浜松市は政令都市移行に伴いハイパーレスキュー隊の創設を目指しているようです。また大阪府は今回の事故を受けて、行政単位を超えて広域圏内で患者の受け入れを行うシステムの確立に動き出すようです。犠牲者が出てからでは遅いのですが、改善に向けて動き出すのは喜ばしい限りです。

投稿: 雨辰 | 2007年9月 4日 (火) 21時04分

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