第二の竹島にしないために
中国で行われていた日中外相会談が終了しましたが、主要な議題の一つである東シナ海のガス田開発問題については進展を見ませんでした。中国は既に日中の中間線で本格的な採掘を初めていますが、日本は外務省の判断により長年試掘をすることさえ手控えてきました。このことについては当時の中川経済産業相が問題提起した事が記憶に新しいところです。今回遅まきながら、試掘を開始する寸前までいきましたが、またしても政府の判断で見送りとなってしまいました。
政府は一体何を恐れているのでしょうか。中国側を刺激すべきでないという論があるようですが、では我国の主権、国家資産の保全をないがしろにして良いと考えているのでしょうか。また現場は我国の陸地からは大変遠く、仮にガス田として開発しても経済的に採算が合わないと言う経済論もあるようですが、こんなことを言っていれば領海12海里以上は全て中国の支配海域になりかねません。これではまるでかつて韓国に竹島の占領を強行された時の構図と同じです。過去の歴史に全く何も学んでいない態度です。
いくら我が方に法的根拠があるとテーブルの前で叫んでいても、現場での実効支配が既成事実として状況を固定化、現実化してしまうのです。またこれに先立つ事前協議の場で中国側から、日本が試掘を開始すれば軍艦を出動させるとの発言が複数回行われたとのことですが、これに対する日本側の返答は明らかにされていません。中国側の発言は外交協議の場にふさわしくない恫喝です。断固として発言の撤回を求めるべきでした。
我国は憲法で国際紛争を解決する手段として武力を行使しないことを定めていますが、これは国土、国民、国家資産に対する侵害行為(武力攻撃)に対して何もしないと言うことではないはずです。正に中国が行っている、交渉の場での立場を強化する為の軍事力行使を放棄したのであって、自衛権を持ち出すまでも無く、正当な権利に対する侵害を排除するのは当然です。不当な圧力に対して一歩も引くべきではありません。
現在、現場海域の監視はパトロールの一環として海上自衛隊のP-3C哨戒機が担当しているようですが、P-3Cには万一の場合、敵対戦闘艦の戦闘能力を相手の攻撃範囲のはるか外側から一撃で奪うことが出来る対艦攻撃兵器を装備可能です。ただいたずらに、相手を威嚇して、お互いに軍事的プレゼンスを強調する必要性はありませんが、交渉の場で銃口をちらつかされても何ら恐れることなく、我国の正当な主張を貫くとともに、次のステップに向けて速やかに試掘のやぐらを立てるべきだと思います。
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