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2008年5月26日 (月)

三浦雄一郎さん、おめでとうございます

世界最高齢のエベレスト登頂を目指していた75歳のプロスキーヤー、三浦雄一郎氏が本日無事登頂を果たしました。但し直前に76歳のネパール人が登頂した為に世界最高齢の栄誉は得られませんでした。報道によれば三浦氏は心臓に病歴があり、ドクターの管理の下に登山活動を行っていたとのことです。

現在ネパール政府は16歳未満のエベレスト登山を禁止しています。私はこれは無謀な登山を防ぐ英断だと思っています。体力のピークを過ぎた高齢者がエベレストを目指すのはなおさら容易いことではありません。今回の三浦隊はサポート隊がルート工作や荷揚げ、テント設営を行った上で、頂上アタックを行うポーラー方式で行われました。現在の先鋭的なクライマーは自分達で荷物を背負って頂上を目指すアルパイン方式で登られていますが、自分の足で登らなければならないのはどちらも同じです。

今後77歳の登山者が最高齢登頂を目指すことになるのかもしれませんが、用具や技術が進歩した現在でも決してゲーム感覚で登れる領域ではありません。運の良かった者だけが頂上に立つことを、そして元の世界に戻れるのであって、悲劇に襲われる者が後を絶ちません。最近でも世界合同隊で頂上を目指した日本女性が、体調不良で亡くなっています。私の世代ですとエベレストサミッターとして思い浮かぶのはなんと言っても加藤保男氏です。加藤氏は生涯3回エベレストの頂上に立っていますが、それぞれが壮絶なものでした。24歳で最初に頂上に立つことが出来ましたが、時間切れで8650mの高所でビバークを強いられ両足と右手3本の指を失いました。それでも登山を断念することは無く、最先端の登山を続け1980年、31歳でプレモンスーン期に北東陵からの単独登頂に成功しました。そして1982年、厳冬期単独として三度登頂に成功しましたが下山途中に行方不明となり、帰らぬ人となってしまいました。

今回三浦氏が辿った東南陵、サウスコルからのルートは一般にノーマルルートと呼ばれていますが、他のルートに比較してということで、決して誰もが安全に登ることを保証されたルートではありません。改めて快挙を称えたいと思います。

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コメント

三浦雄一郎さんは無事登頂を果たしたようですが、息子の豪太さんは危なかったようですね。
高度障害からくる脳浮腫で、意識がもうろうとした中での下山だったそうです。途中、症状を軽減させるためのデキサメサゾンの注射器をズボンの上から自分の腿に刺したそうです。
若くて体力があるから大丈夫って訳でもないのですね。

投稿: 山奥 | 2008年5月28日 (水) 19時36分

山奥さん、コメントありがとうございます。かつてエベレストを含む高所は北極、南極に次ぐ第三の極地と呼ばれました。極低温と低酸素の状況で強靭なクライマーも肺水腫や脳機能の低下による行動障害によって命を落としています。
運命の女神は気まぐれでクライマーに幸運と絶望をもたらします。北杜夫氏の小説、白きたおやかな峰はエベレストではありませんが、後者を描いた悲劇の物語です。三浦氏の無事な下山を祈っています。

投稿: 雨辰 | 2008年5月28日 (水) 21時53分

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