« なんだこりゃ | トップページ | 夢かなう、赤石沢遡行 »

戦車と空爆

グルジアとロシアの武力衝突が何とか停戦に漕ぎ着けたようです。南オセチア自治州のロシアへの帰属をめぐって以前から小競り合いを続けていましたが、米国との協調関係を過大評価したサーカシビリ大統領が北京オリンピックの開幕日と言う政治空白を狙って武力行使に踏み切りましたが、何とか武力介入の機会をうかがっていたロシアが、しめたとばかりに大規模侵攻を開始しました。元々旧ソ連邦の構成国であったグルジアには自前の軍備はほとんどありません。わずかな航空部隊と少数の装甲車両があるのみですが、対空ミサイルもごく少数、保有するT-72戦車もロシアが保有する正規スペックではなく装甲の厚さが薄いモンキーモデルと呼ばれるスペックダウンした輸出グレードだったようです。

そもそも現在の対戦車攻撃では攻撃用ヘリコプターや戦闘機からの対戦車ミサイルが主流です。イラク戦争でも多数のT-72戦車を保有するイラクが多国籍軍を苦しめるのではないかと予想されましたが、戦車戦になる以前に航空勢力によるミサイル攻撃で一方的に壊滅に追い込まれました。今回の軍事進攻でもロシアは制空権をほしいままに多数の戦闘機を投入しており、タンクキラーの役割を担った筈です。

サーカシビリ大統領はロシアの軍事力をあまりに軽く評価して、軍事大国ロシアの尾っぽを踏んでしまったようです。ロシアはこのような事態を見越して事前に即応軍を準備していたのは間違いありません。米国もグルジアに軍事援助をして西側陣営に取り込もうとしていましたが、ロシアのSu-27が領空侵犯している状況で何の軍事的存在感を示すこともしなかったのは怠慢以外の何物でもありません。ともあれ国際紛争においてはいかなる正当性よりも戦車の砲撃と航空機による空爆が当事国の主張を具現化させると言う鉄則が今回も立証されてしまったと言うことではないでしょうか。

|

« なんだこりゃ | トップページ | 夢かなう、赤石沢遡行 »

コメント

はじめまして。
今回、サーカシビリ大統領は対ロシア政策として思い切った戦略をとったと思っています。現況のままでは、いずれロシアになし崩し的にグルジアも組み込まれ兼ねない現実を
恐れ、ワザとロシアに喧嘩を売り、誘き出してロシアの強権振りを世界に見せつけ、即座に停戦をアメリカ・EUを巻き込み行なった事により、ロシアは悪者として世界に印象付けられ、以後、ロシアは迂闊にグルジア侵攻を出来なくなりオセチアに展開中のロシア軍も西側国連平和維持軍と入れ替わり、目の前のロシアの恐怖から逃れる事が出来ます。
と、私のような考え方もあります。これからのロシアの動静は興味深々ですね。

投稿: | 2008年8月13日 (水) 20時03分

名無しさん、コメントありがとうございます。サーカシビリ大統領がどこまでロシア軍情報を掴んでいたのか、いなかったのか大きな謎ですね。しかしKGBという強大な諜報機関を持つロシアが軍事小国グルジアの動向をまったく掴むことが出来なかったとは考えにくいのではないでしょうか。
グルジアへの国連部隊のPKO派遣もロシアの拒否権で実現は難しいように思います。かといって放置すればエネルギー戦略においてロシアの地位は一段と強まります。対抗上NATOへの加盟を認めれば新たな冷戦が始まってしまいます。
ロシア、グルジア、欧米諸国にとって実に厄介な事態であるのは間違いありません。

投稿: 雨辰 | 2008年8月13日 (水) 22時22分

ロシアのメドベージェフ大統領は26日、武力行使を背景に南オセチアとアブハジアの独立(ロシアへの帰属)を承認する大統領令に署名し、自らが帝国主義国家であることを証明しました。語るに落ちるとは正にこの事です。

投稿: 雨辰 | 2008年8月26日 (火) 23時23分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/171584/42155950

この記事へのトラックバック一覧です: 戦車と空爆:

« なんだこりゃ | トップページ | 夢かなう、赤石沢遡行 »