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2008年9月20日 (土)

弾道ミサイル防衛について

我国の政治空白をついて、かの国が軍事挑発を仕掛けないかと心配していたら、当の将軍様は病の床にあってそれどころではないようですが、相変わらずテポドンの発射をちらつかせるなど米国を牽制しようとしての瀬戸際外交だけは健在のようです。そのような中、航空自衛隊が米国の試射場で弾道ミサイル迎撃用のPAC-3の発射試験を実施し、模擬標的ミサイルに命中させることに成功しました。

弾道ミサイル防衛に関しては技術的可能性や費用対効果の観点から批判的な意見がありますが、今回も標的としたPAC-2の飛行速度が弾道ミサイルの着弾時の速度に比べて遅いことや弾頭部分だけの目標でなかったことを取り上げて有効性に疑問を呈する意見が聞かれます。しかし海上発射のSM-3と違い、地上発射のPAC-3は安全性の観点から標的そのものの不具合や迎撃に失敗した時に実験エリア外の周辺地域に与えるリスクを考えれば一定の制約があるのは仕方ありません。ここは広報の発表どおり、発射運用能力の確認と受け止めるべきでしょう。また、時期的に見れば予算折衝に向けてのデモンストレーションの意味合いが強かったのではないでしょうか。

またPAC-3の20Kmという有効射程距離の短さが改めて持ち出され、問題視されていますがそれを承知で導入しているのであって、ミサイル着弾の終末段階に他に変わるべき手段が無い今の時点では止むを得ないのではないでしょうか。この問題に関しては対弾道ミサイルに対しての能力が限定的といわれていますが従来型のPAC-2の射程が70Kmであり、さらにそのPAC-2よりもミサイル対処能力が上回ると言われる国産の地対空ミサイルである中SAMの射程が50Kmありますのでこれらを併用して運用すれば迎撃率を高められるのではないでしょうか。但しパトリオットは空自、中SAMは陸自が運用している為、現段階ではシステム的な問題が存在する可能性は考えられます。(PAC-2とPAC-3はシステム的に連携可能になっています。)

そもそも我国は弾道ミサイル防衛を飛行の中間期をSM-3で撃ち落し、撃ち落せなかったものをPAC-3が受け持つと言う布陣を敷いています。SM-3はシーカーを2波長赤外線方式にして、囮との識別能力向上型のブロックⅡが開発中で、実用配備になれば将来はこちらに更新されることになっています。また、複数弾頭対処能力をもったブロックⅡBの開発が予定されています。更に米国では最高高度150Km、最大射程200KmのTHAADと呼ばれる中間高度での迎撃ミサイルを開発中で、自国運用の他UAEに売却予定と言われています。我国は長射程の地対空ミサイルを研究中のようで十分実用化可能と思いますが、状況によってはTHAAD導入の可能性もありと思います。

何にしても弾道ミサイル防衛には多額の予算が必要です。米国製の導入に当っては商社の介在があり、利権化のおそれもあります。しかしいざ鎌倉と言う時にあわてないためにも、平治にそれなりの備えをすることは必要ではないでしょうか。しかし迎撃側の能力が向上すれば攻撃側が更にそれを無効化する為に新しい手段を講じて両者の競争には際限が無く、費用対効果の観点から核ミサイルなどの報復用攻撃兵器を導入すべきとの意見もありますが、仮に核ミサイルを保有したところで相手国がためらわず攻撃に踏み切れば迎え撃つ体制が必要になります。何より核保有国の米国が弾道ミサイル防衛を推進せざるを得ないことが、この問題の本質を表しているのではないでしょうか。

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