今年も残すところあと2週間あまりとなりましたが、相変わらず暗いニュースが続いています。年の瀬を迎えて突然雇用を打ち切られ、職も住も一度に失う人達が続出しています。政府は雇用対策として経団連に雇用継続の申し入れをしましたが、企業の側は自己防衛の為に雇用調整と言う名の人員整理に躍起となっています。
経団連会長の出身企業では以前から偽装派遣によって正規雇用者と同じ仕事をさせながら劣悪な待遇で人件費を抑制していると指摘されていました。体面上派遣労働者を期間労働者として直接雇用したり、業務そのものを業務請負として外部委託化しました。今回はこの外部委託した労働者の契約を打ち切った訳ですが、契約は外部委託業者との間で交わしているので、直接関与していないと強弁しています。雇用の継続に責任を持つように申し入れをしようとした労働者に対してテレビカメラの前で見せたこの企業の姿勢は多くの人の目に焼きついたのではないでしょうか。
この企業のカタログが手元にあったので開いてみると「家族のしあわせは、○○○○(商品名)で□□(ある情報の形態)になる」とありました。自信に満ちた良く出来たコピーですが、この企業が言うところの家族は誰を指しているのでしょうか?我国は格差の少ない社会と呼ばれていますが、それでも非正規雇用労働者の増加によって低所得層が年々増加しており、その結果年金未払いや非婚者を生み出す要因となってしまっています。このまま放置すれば今後社会の不安定化につながりかねない重大な事態です。安定した雇用があるからこそ、将来への希望が生まれそれを記録する手段の一つとしてこの企業の商品が求められる場面も生まれるのではないかと思いますが、寒風が吹きぬける中ではそんなことは望むべくもありません。
そんなことを考えていたらある人の有名な遺書が脳裏をよぎりました。CMディレクターとして時代を代表する作品を連発した絶頂期に自ら命を絶ってしまった杉山登志氏が書き残した次の一節です。氏の鮮烈な人生は何度かドラマ化もされています。
リッチでないのに
リッチな世界などわかりません
ハッピーでないのに
ハッピーな世界などえがけません
「夢」がないのに
「夢」を売ることなどは・・・とても
嘘をついてもばれるものです
彼の死の真相は分かりませんし、彼の言うところの「夢」が具体的に何を指すのかは分かりませんが、たとえどんなに今が苦しくても人はその人にとっての「夢」があるから生きていけるのだと思います。嘘をついても・・・重過ぎる言葉です。
かつて我国の企業経営のあり方は日本型経営と揶揄されて、米国企業のそれと比較され続けてきましたが、今日の米国企業の凋落を見るにつけても企業収益、株主配当を優先する企業に「夢」も将来性も感じることは出来ません。あとわずかで新しい年を迎えますが、来たる年が誰もが「夢」を持つことが出来る年であるように願わずにはいられません。
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