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小沢発言

民主党の小沢党首が極東における米軍のプレゼンスについて言及し、在日駐留米軍は第七艦隊のみで十分ではないかと述べたことについて、主に自民党筋から軍事常識に反し戦力の低下を招く、国防費を増加させるとの非難が寄せられています。しかしこれは非常におかしな見方ではないでしょうか。我国の防衛では米軍が周辺国に睨みを利かせ、自衛隊はその盾の元で任に当たるものと言った考え方が一般的ですが、独立国、それも世界第二位の経済力を持つ国としてまともな国家のあり方とは思えません。また自衛隊も他国攻撃能力こそありませんが、こと防衛に関しては世界有数の戦力を保有しています。

国家は自国民そしてその領土を守る為に軍事力を保持するのは当然です。我国は第二次大戦の敗戦の経緯から占領国から軍備を持つことを禁じられ、新たに制定された憲法も軍事力の放棄を謳っています。しかしその後に勃発した朝鮮戦争によって我国の海上防衛や治安維持が重荷になった米国は先の方針をさっさと変更して警察予備隊を発足させ、日本政府も憲法を都合よく解釈して軍事力を強化し続けました。しかし国民には日本の国防は軍備を持っている米軍があたり、自衛隊は軍隊ではなく、戦力なき自衛の為の集団であるとのどう考えてもおかしな理屈を唱え続けたのでした。つまり本当は自国の防衛と言う自己の責任として果たさなければならない、時には他国と武力を交えても自国を守ると言う義務を嫌なこと、手を汚したくないこととして卑怯にも眼をそらし続けてきたのです。

現在我国には日米安保条約に基づいて米軍が駐留しています。このことも都合よく解釈されていますが、憲法が禁止している集団自衛権の行使に反するのは明らかではないでしょうか。それでは在日米軍の兵力とはどのようなものでしょうか。ウイキペディアによれば、陸軍は補給と情報収集部隊のみで約1800人、正規軍は0です。海軍は約4800人、空軍は嘉手納基地のF-15C/D、KC-135,E-3の要員を中心として約14000人、海兵隊は沖縄駐留の第五海兵遠征軍の約15500人、合計約36000人ですが、この内海兵隊は文字通り海外に展開する部隊なので我国の防衛とは無縁の存在です。従って海兵隊の兵力を差し引くと20500人となります。

一方第七艦隊はハワイ、ホノルルに司令部がありますが、揚陸指揮艦ブルーリッジ(排水量19107t)を旗艦として原子力空母ジョージワシントン(艦載機85機、満水排水量104200t)以下50隻以上の艦船を配備し、航空作戦機350機、平時2万人、戦時6万人を擁する一大戦闘集団です。その任務の質が違うので一概にどちらがどうとは言えませんが、在日米軍を第七艦隊に置き換えても日本近海の軍事プレゼンスが著しく低下するとは思えません。小沢発言は的外れとは言えず、むしろ責任ある国家として自国防衛について本来あるべき姿を提唱したものと考えるべきです。

現在に至るまで我国の政治家、特に自民党は国防について無責任にも米国に丸投げし、その上で多数米国製兵器を導入して利権化してきました。主権国家として当然の国防の義務をまっとうしようとせず、米軍一辺倒の姿勢に一石を投じた今回の小沢発言に過剰に反応した裏にはこのような構図が透けて見えて仕方ありません。しかし米軍は我国の思惑などお構い無しに世界戦略の見直しで、沖縄駐留部隊をグァムに移駐させる動きを進めています。また部隊の再編によって防衛費が増大してしまうとの意見がありますが、先に述べたように在日米軍の構成を変えても大きな戦力の低下はなく、防衛費を増大させる必要はありません。そもそも自国存立のために必要な経費であるならば、負担が重いなどと言っても始まりません。日本の常識は世界の非常識で先進国で自国防衛を自ら他国に委ねる国など見当たりません。

外征的軍事大国を目指すべきではありませんが、いい加減戦後の思考停止状態から覚醒して、自国防衛のあり方を国民的議論に高める時期が来ているのではないでしょうか。

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