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2009年5月12日 (火)

単気筒バイクの生産終了について

最近になって、遅まきながらヤマハSR400が生産終了になっていたことを知りました。かつて高出力を競ったスポーツバイク全盛時にもわずか27PSの空冷エンジンながら独特のフォルムと排気音でシングル族を魅了しつづけた日本の名車も排ガス規制強化の時代の波には勝てず、その他の多くのモデルと共に静かに舞台を降りてしまいました。ライバルのホンダはSR人気に目をつけてモダンな味付けのFT400を出しましたが、私のようなゲテモノ好き以外に受け入れられず早々に打ち切りとなりました。その後、2001年からSRに良く似たクラシカルなCB400SSを生産していましたが、こちらも同様に排ガス規制をクリアできず昨年9月で生産を終了してしまったようで、一つの時代の終焉として感慨深いものがあります。

日本の主要産業の一つである自動車工業の発展は、海外からの技術移転もありますがバイクのエンジンからのフィードバックも大きかったのではないかと私は考えています。エンジンのラインナップが限られた初期のホンダの4輪車はバイクのエンジンを転用することで成り立っていました。N360にCB350のエンジンを搭載したのは有名な話です。このじゃじゃ馬エンジンは早くに先行したスバル360を馬力競争でぶっちぎり、たちまちベストセラーとなって4輪におけるホンダの礎となりました。自動車不況の中、軽自動車の踏ん張りで健闘しているスズキもまた2輪メーカーからの進出です。

排ガス規制では4輪は2輪よりも随分早く対応を迫られました。1975年の50年規制適合のため、それまでの空冷エンジンでは対応出来きないとされ、軽自動車も水冷エンジンに転換を迫られました。F1にまで空冷エンジンを搭載し、本格的な自動車メーカーへの道を歩みつつあったホンダは、ホンダ1300(後期には1433cc)に搭載していた空冷エンジンをめぐって路線論争を引き起こしました。空冷堅持を主張した創業者、本田宗一郎氏は最後には部下の提唱する水冷エンジンを受け入れますが、この時の空冷、水冷エンジン論争によって時代の転換期を悟り、社長引退を決意したと言われています。

今回の排ガス規制の強化によって最後まで残されていた、中・大型バイクの空冷エンジンに引導が渡されることになってしまいましたが、生産台数の多い原付クラスは燃料供給のFI化やマイコンによる緻密な燃焼制御で規制をクリア出来ています。経営環境の厳しい中、台数が限られるエンジンではしばらく復活は難しそうですが、技術的に出来ない訳ではないと思われるので、時代に適合したビッグシングルが復活してくれることを願っています。

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コメント

ビッグシングルの代表と言えばSRですね。
今も昔も基本的デザインが変わらない1本筋の通ったバイクらしいバイクでした。
規制があるにせよ、こういった味のあるバイクが姿を消していくことは寂しいものです。
かつて4輪もそうでした。
排ガス規制により、キャブレター車が姿を消しパワーやトルクを犠牲にしたインジェクション車に移行した時代。もう、車の楽しさが無くなったと思いました。今でも当時のキャブ車をレストアして乗っているのを見ると、あれこそが車の楽しさと感じ、羨ましく思ったりします。
2輪にしろ4輪にしろ、パワーやトルクも大事だけど、zeroはそれ以上に味も大切です。

投稿: zero | 2009年5月13日 (水) 09時15分

zeroさん、コメントありがとうございます。経済的理由からバイクから遠ざかって随分経ちますが、ロングドライブの途中でツーリングバイクを見かけるといつかはSRに乗ってみたいとかねがね思っていました。

2輪の排ガスクリアが厳しいことは聞いてはいましたが(私の住まいは3大メーカー所在地)まさかSRが生産終了になるとは思いませんでした。ロングセラーモデルなので、エンジン回りはあまりいじらず、オイルクーラーを付けるぐらいのなるべく小幅なチューンで再登場してくれる日を待ちたいと思います。

投稿: 雨辰 | 2009年5月13日 (水) 10時42分

SRはかっこよかった!
が...
私も学生時代に単車に乗っていましたが、スズキのバイクばかり。(爆)
単気筒はオフロードのSX125(林道用)
4気筒はGF250Sのネイキッド(ツーリング用)
モトクロッサー80ccもスズキでした。
レーサーで言えば、平より辻本が好きだったせいもあったし、往年の仮面ライダーが乗っていたのもハスラーだったからかな。

今は車が恐くてバイクは乗れません!
近頃はハーレーとかビッグスクーターばかり目に付きます。

投稿: 山奥 | 2009年5月14日 (木) 06時52分

山奥さん、コメントありがとうございます。

>スズキのバイクばかり

バイクは4輪以上にメーカーの個性が表れますね。サスペンションの機構や名称も各社それぞれで多彩でした。その人の思考や嗜好にあったものを好きに選べたのは良き時代といえるでしょうね。

投稿: 雨辰 | 2009年5月14日 (木) 08時09分

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