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2009年7月27日 (月)

空自F-Xについて

民主党が政権公約を発表しましたが、安全保障に関する具体的な項目については言及がありませんでした。今まで安全保障に対する様々な発言がありましたが、野党の立場であり党としての統一見解とは言えないものでしたから今後の煮詰めを待ちたいと思います。

ただ、先日鳩山代表が戦車について述べていましたが、海を渡って戦車で攻めてくるような国は見当たらないから不要であると言った論旨でした。元大蔵官僚片山某氏も戦車や潜水艦は時代遅れで不要な兵器との認識で、防衛予算に大ナタをふるいましたが、これは誤りです。北海道に90式戦車が配備されているから戦車での侵攻を考えにくくしているのです。仮に戦車が全く配備されていなければ、しかるべき砲爆撃のあと戦車による上陸作戦を敢行されても対抗手段は限定されてしまいます。あわてて作るにしても、輸入するにしても数年がかりとなってしまいます。軍事の場合、相手が侵攻の姿勢を見せた時に対抗手段を持ち合わせなければ、もう間に合いません。

前置きが長くなりましたが、本題です。現在航空自衛隊ではF-15J、F-4EJ、F-2の3機種で防空任務に就いています。このうちF-4EJファントムは1972年配備開始(原型機の初飛行は1958年)の旧型機で適宜近代化の改修を経てはいますが、周辺国の新型機と比較すると見劣りの感は否めません。そこで新しい機種を導入しようとしていたのですが、上手く行っていません。それは本命としていたF-22の輸出を米国が許可しようとしないからです。我が国は戦闘機の定数を300機としていますが、今後260機に減数することになっています。このため空自は、他の機種に比べて圧倒的に高性能な米国のF-22を希望していたのですが、機密保持を理由に米議会で輸出は禁止されてしまいました。一部議員からは性能をダウンさせた輸出版を作る案も提示されましたが、オバマ大統領はF-22の生産終了を最終決定してしまいました。

専守防衛を基本とする空自ではステルス性に優れ、相手に探知される前に長射程ミサイルで攻撃出来るF-22に魅力を感じるのは判りますが、ステルスを有効にするためには相手に察知される搭載のレーダーは使えません。結局後方のAWACS(早期警戒管制機)のレーダー情報を活用することになる訳です。また、F-22はステルスを確保するのに莫大な維持、整備費を必要とするとの報道もあります。こう考えると必ずしもF-22である必要はないように思えます。この先、仮に北朝鮮からの挑発があって対地攻撃が必要になる事態も考えられますが、自衛隊のみでのSEAD(敵防空網制圧)の遂行能力がないことを考えれば、F-X機での攻撃は除外すべきと考えます。

また、F-4EJ、F-15J、F-1、F-2と戦闘機を作り続けた国内の製造ラインを維持し、製造技術を維持する必要も考慮しなければなりません。国内でライセンス生産するよりも完成品を輸入した方が安いとの意見がありますが、メンテナンスを含めた費用で見た場合必ずしもそうとは言い切れず、部品の確保の即応性を考えると国内での生産が望ましく思えます。機体価格はF-22はおよそ250~300億円程度、対抗機種であるユーロファイタータイフーンの場合は100億円前後ではないかと言われていますが、どちらも搭載する電子機器によって大きく変動します。またF-22は完成品輸出ですが、ユーロファイターは日本でのライセンス生産や搭載装備の変更をすべて認めると言われています。

一方、機体の運用能力の指標であるキルレシオで見た場合、ある資料では対ロシアのSu-35比でF-22が10.1:1、タイフーンが4.5:1、F-15Cが0.8:1となっています。軍用機の性能は秘中の秘ですからどこまで正しいかは疑問ですが、先の価格とキルレシオを勘案すれば、ユーロファイターも費用面で見ればそんなに遜色ないことになります。

こう見ると現実的にF-22が入手できないのであれば、戦闘機の定数の再見直しを行い導入機数を増やすことで今回のF-Xを乗り切り、根本的な見直しはF-XXの際に行うことで解決するのが一番の良策ではないかと思えます。政権交代が実現した場合でも国防政策を短期間に激変させるのは有益ではありません。粛々とF-Xを決定し、有事に遅滞なく備えることが必要と思います。

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