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2009年9月25日 (金)

誤ったシグナル

現在沖縄本島以西に自衛隊は駐留していません。先の戦争で沖縄では熾烈な地上戦が行われ、民間人にも多大な死傷者を生み、更にその後長い間米軍の占領下に置かれた為、軍隊に対する嫌悪感が強い拒否反応となっているからです。したがって台湾とは111Kmしか離れておらず、沖縄本島よりも中国本土の方が近いにもかかわらず、日本最西端の島である与那国島にも自衛隊員は駐屯していません。

軍事的に見れば周囲を海に囲まれた島は敵の侵攻を極めて受け易く、専守防衛を旨とする自衛隊にとってこのような地に大規模な戦力を投射することは、リスクが大きいだけであまり上策とは言えません。しかし、政治的に見れば自国領土の防衛の意思を鮮明にするために、なにがしかの部隊を配備することは極めて意味のあることです。前政権末期に地元の誘致もあり、少数の陸自部隊を送る計画が持ち上がっていましたが、昨日新防衛相は派遣を明確に否定してしまいました。

軍事的実効性を考えれば中止も選択肢の一つだと思いますが、その理由がいけません。代々の外務省、防衛相と同じで、「いたずらに隣国を刺激すべきでない」と言うものです。言うまでもなく与那国島は我が国固有の領土であって、不法占拠をしているわけではありません。もし、配備するのが射程の長い対地ミサイル部隊であれば、そのような配慮も必要かもしれませんが、主権国家として最低限の部隊配置がどうして出来ないのでしょうか?また、軍事的に見れば相手が嫌がることこそ自国に利益になることです。例え配備をしないにしても外交のカードにも成り得たのに、お人好しにも程があります。このような文言は他国を利するだけなので、今後絶対に使うべきではありません。

中国は新政権を友好的外交方針を取る組み易い相手と判断しているようですが、このことで多少のことには手を出して来ないと言った、誤った判断をしてしまうのではないかと心配しています。竹島がそうですが、正当性はこちらにあるからと金持ちケンカせずの態度が今日まで解決を長引かせ、しかも益々相手を増長させているのです。北方領土を見るまでもなく、領土防衛に関しては絶対長期にわたって占領の既成事実を作らないのが、鉄則です。友愛の精神は大切かもしれませんが、治に合って乱を忘れないのが国防の要諦だと思います。

我が国はかつて蒙古軍の襲来をうけましたが、それ以前にも外敵の脅威にさらされたことがありました。663年朝鮮半島の百済に肩入れしていた我が国は白村江の戦で唐と新羅の連合軍に大敗し、その勢いで海を渡って侵攻されることを恐れた大和朝廷はあわてて各地に城を築いて防衛線を張りました。太宰府防衛のために大野、金田城の城を築き、更にその後方支援のため熊本県に鞠智(きくち)城を築いて備えました。その甲斐あってか、幸い唐&新羅軍の来襲はありませんでしたが、国の存亡がかかった、まさに国難と言える事態でした。今日の状況はこのように切迫したものではありませんが、外敵に備えた準備はしておくに越したことはないと言うことです。

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国の指定遺跡となっている山鹿市の鞠智城跡。国土防衛のため各地から防人が送られて国土警備に当たった兵どもの夢の跡です。

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