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今さらながら

尼崎列車脱線事故を起こしたJR西日本が、同社OBの事故調査委員と接触して情報入手や操作を図ったことが明らかになり、改めて遺族の怒りを買っています。事故の原因は安全性を二の次にした誤った収益重視の中で発生し、ATSの未設置が事故の誘因となったのは明白です。ところが、前社長や現副社長らが指示をしてこれらの活動をしたのですから、いくら否定しようと会社ぐるみであるのは明らかです。ATSの設置で事故が防げたとの結論を報告書から削除しようと画策したのは責任逃れ以外の何物でもありません。

JR西日本は1990年に信楽高原鉄道における衝突事故で42名の犠牲者を出しながら、事故責任を追及された裁判において責任なしの主張をしましたが既に敗訴が確定しています。この事故は2社乗り入れの中で起きた信号の不備で発生し、この時にもATSがあれば防げた事故(設置義務は事業主体の信楽高原鉄道)と言われていました。にもかかわらず、収益重視の過密輸送を行いながら急カーブである事故現場へのATSの設置を怠った過失は明らかで、函館線での同様な脱線事故でATSの有効性を指摘した報告書を隠ぺいするなど悲惨な過去の教訓を生かそうとしない安全軽視の姿勢は本当に困ったものです。

また、国交省は監督官庁としてこのようなことが再発しないよう、制度の見直しをしっかり行って欲しいものです。鉄道事故の調査委員はJRの出身者が大半を占めているようですが、知識、経験を持った適任者を選ぶのではなく、必要なスキルを持つ適者を育成することが必要ではないでしょうか。

今回の件で思い出したのが、古い話ですが1966年に起きた全日空機の羽田沖墜落事故です。千歳から雪まつり帰りの満員の乗客を乗せたB727(JA8302)が羽田沖で海中に墜落し、乗員・乗客133名全員が死亡した当時の最悪の航空機事故でした。この時も事故報告書をめぐって一悶着があり、当時同型機で類似の事故が頻発していたにも係わらず、機種の導入に関与したと言われる委員長の木村秀政日大教授が早期に操縦ミス説を展開し、結局原因不明で報告書を押し切りました。これに対してグランドスポイラーの作動異常の兆候から機体不良説を取った山名正夫明大教授の説は全く顧みられず、抗議の調査委員辞任に至りました。グランドスポイラーの異常はその後の1968年、JALの同型機(JA8318)が飛行中に本来作動してはならないスポイラーが作動する事故が起きましたが、調査委員会は無視しています。事実関係を丹念に拾い集め、科学的な検証を加えればそこにおのずと何らかの形が見えてくるものです。始めに結論ありきでは見えるものも見えなくなってしまいます。

全日空機の事故を教訓に、旅客機にはボイスレコーダー、フライトレコーダーを搭載することが義務付けられ、その後の事故究明に大いに寄与することになりました。国交省、JR西日本はJA8302のパイロットが最後に交信した言葉「ロング・ベースナウ」を今一度思い起こすべきではないでしょうか。

※ロング・ベースナウは現在ロング・ベース(航空機が着陸進入する際に通過する位置の名称)の意味で管制塔に自機の位置を報告したものです。機体トラブルをうかがわせる事象として目撃者からは事故機の高度が通常よりも低いことが証言されていますが、重要視されませんでした。山名氏が事故調査の疑問点を雑誌に発表された際にこの言葉を知りましたが、事実を大切にするべきとの警句として未だに覚えています。

航空機事故調査委員会については、2007年の那覇空港の炎上事故でワッシャに本来あるべき傷が見られないことから事故原因はボーイング社での組み立てミスであることを突き止めるなどその後は基本的事実を直視しており評価出来ると思います。

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