「子供いらない」4割
内閣府が世論調査の結果を発表しました。「結婚しても必ずしも子供を持つ必要はない」と考える人が男性38.7%、女性46.4%、合わせて42.8%に上るそうです。このニュースを見て大変驚きましたが、実は私が不勉強なだけで、以前から同様の世論調査が行われていて、いらない派が前回よりも6ポイント増えているそうです。質問の全体像が明らかでなく、「必ずしも」と言うのもかなり曲者ですから、ここだけを取り上げて論ずるのは適当ではないのかも知れませんが、大変困った風潮ではないかと思います。
雇用情勢から来る将来への不安や出産による休、退職や子育て休暇、経済的負担など実に多くの困難があるのは理解出来ますが、どうも現在の快適生活維持が優先されているように思われてなりません。かつては独身の若者が高級車を乗り回し、家庭を持つと大衆車に格下げとなる図式が当然のごとく成り立っていましたが、一度覚えた蜜の味を手放したくないと思う人が増えているように思います。
自分の人生を思うがまま楽しみたいと考えるのはごく自然なことですが、それは社会と言う安全な柵の内側で安心して暮らすことが出来るからです。柵を作り、保全していくのには当然コストがかかります。そのコストは現役世代が納める様々な税金で賄われていますが、やがて歳老いてくれば負担が減って受益する側に回ります。しかし、受益者に比べて担い手の数が少なくなれば、やがて柵は維持出来なくなってしまいます。安全・快適は失われ、もしそれを手にしようとすれば個人的に新たなコストの負担が必要になるのです。
また文化の面でも音楽や出版など、若年人口が減少し続ければ益々再生産が困難となり、ネットのコンテンツも商売として成り立たなければたちどころにして消えてしまいます。活力に満ちた若者文化と呼ばれるものもいずれ衰退してしまうことでしょう。子供いらない派は20代で6割にもなりますが、今自分たちが享受しているものの大半が年配の世代から受け継いだものであり、次の世代に残すのはあなた達の責務ですよと書きかけてふと思い出しました。
イソップのキリギリスは遠い先の冬のことなど考えもしていないんだ、たとえそれがいつか大問題になるとしても・・・。 でも子育てって果たして苦労だけなのかなあ。
| 固定リンク
コメント
世の女性を「子供を産む機械」呼ばわりした某大臣もいましたね。
現行の年金等の生活保障制度が労働世代の積立金で運用されている限り、若い世代に「結婚しろ」「子供を沢山産め」と中高年世代が声高く言うことは、若い世代に反発しか生まないような気がします。
今回の結果は、その反動もあると思います。
確かに、労働報酬が年々減少していくこの不景気な情勢では、結婚して、配偶者に子育てに専念してもらうことは独身時代と比較してかなりの不自由を強いることになります。
でも、子育ては、親の自己犠牲が必ず報われるし、人間として大人も成長します。ただ、余りにも日本の将来に暗雲が立ち込めているため、明るい子育て生活展望が描けないでいるのかもしれません。
また、晩婚化は、コンビニや外食産業と独身者が日常食生活に全く困らない時代背景もあるでしょう。バブル全盛時代に少年期だった今の成人世代は、当時の生活から脱却(落ちる)ことが不安なのかもしれません。
私は、基金による現行年金制度を抜本的改革をし、消費税等を含めた税金を財源にした保障制度(社会福祉税導入)にすべきだと考えます(そのための消費税率大幅アップは仕方が無い)。
従前の積立型の年金体系は、個人積立年金とし、一定額は必ず積立者に還元することを保障すべきと考えます。
また、同じ納税者なのだから、子育て世代にも手厚い支援策を政府が示すべきです。
余り自論ばかりブログ(のコメント欄)に書くと、某市長のようになってしまいますね。
長文、ごめんなさい。
投稿: 山奥 | 2009年12月 8日 (火) 06時40分
山奥さん、コメントありがとうございます。この調査の設問の仕方、全体の組み立てが良く分かりませんが、マスコミ報道からは子育てを経済問題から捉えているようにしか思われませんでした。家族問題を経済的見地からだけ見るのはおかしいと思いますが、かと言って無視も出来ません。私も高齢者対策は社会全体として消費税を中心とした間接税で賄うしかないと思います。
ただ、家庭の温かさが失われてしまっていて日本人の価値観の低位になってしまっているように思われるのが残念ですね。
投稿: 雨辰 | 2009年12月 8日 (火) 07時35分