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2009年12月21日 (月)

フライング

ギネスブックの功罪でしょうが、最年少記録が大はやりです。罪のないものは結構ですが、生死にかかわる領域のものとなると正直首を傾げざるを得ません。

この夏ヨットでの断独世界一周の最年少記録に挑戦しようとしたオランダの14歳(報道当時は13歳)の少女が裁判所に出航を禁止され、その後挑戦を止められたことに悩み、最近になって失踪したようですが、本日カリブ海の島で無事保護されました。

9月に最初の報道に接した時、何と言う無責任な親だろうと違和感を感じましたが、今回の報道で周辺の事情が少し見えてきました。彼女は両親がヨットで世界一周の航海中にその船上で生まれ、6歳からヨットの操船を始めていましたから、年齢の割にはそのスキルは大変に高いものと思われます。しかし、一番身近で誰よりもその能力を知る母親が離婚をしてまで計画に反対していました。

私が違和感を感じたのも、生命の危険を冒してまで何故未成年者の世界最年少記録が競われなければならないのか、と言うところでした。成功した時の達成感は何物にも代えがたい素晴らしいものになるでしょう。世間はセンセーショナルに取り上げ、活動の記録が大変なビジネスになるかも知れません。しかし、世の中何が起きるか分かりません。航海中に嵐に遭遇し、横転することは茶飯事の世界です。ヨットウーマンの母親が我が子の身を案じて止めるのは当然のことです。

かつて、若き堀江謙一氏が密出国までして単独で太平洋を横断したのは24歳の時でした。彼は自分の力でヨットを手に入れ、航海術を身に付けたため、出発までずい分と時間がかかりました。そして綿密に計画を建てましたが当時の常識の壁に阻まれて、出国が許可されず、仕方なく密かに荒波に乗り出したのでした。まだGPSも衛星電話もなかった頃、全長5.7mの小さなヨットで太平洋を渡った青年の冒険心に米国民は驚き、その勇気を称賛を持って迎えました。その快挙を記念し、マーメイド号はサンフランシスコの博物館に今も展示されています。一方この少女の場合、周囲に用意されたヨットを使って航海をすることにどれだけの価値があるのでしょうか?私には単なるオペレーターの年齢を競うことに意味があるようには思われません。

もし、世界一周がしたいのであれば、成人に達してから自分の責任で行えば済むことです。世界の多くが加盟する子供の権利条約では18歳を成人年齢としてしています。冒険は18歳になってから、いいのではないでしょうか。

尚、今回の記事を配信した共同通信は先に裁判所から禁止の決定を受けたことについて「夢を奪われた」と記述していますが、少女の安全に対する配慮を欠いた、極めて無責任で許しがたい態度だと思います。

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