不誠実な人
足利冤罪事件の再審の報道を見ました。かつて菅谷氏を取り調べた森川大司元検察官が証人として出廷し証言を行ないましたが、正直失望しました。検察官は犯罪被疑者を取り調べ、法に照らして起訴の判断をし、裁判所に送致する職務を担っています。人間である以上時には誤りを犯すことも仕方ないことを踏まえた上で、森川元検察官は法の番人、いや人間として失格であると感じました。
菅谷氏が起訴されたのは唯一DNA鑑定の結果によるもので、当時の捜査は全て予断に基ずいており、多くの状況は彼の犯行を否定するものでした。にもかかわらず、容疑者を作り上げたのは類似事件が続き捜査当局が相当なプレッシャーにさらされていたからと思われますが、昨日の証言によれば、当時のDNA鑑定の精度は足利市だけで50人程の該当者が存在するほど粗いもので、周辺の都市人口を考えればとても個人を特定出来るだけのシロモノではありませんでした。森川元検察官はこのことを十分承知した上で、鑑定精度が極めて高いと虚偽の説明をして自供を迫り、逆に不正確なDNA鑑定を補強して起訴を強行したのです。
その後分析精度が向上し、菅谷氏の無実が証明されたのは周知の通りですが、発端となった法の番人としてあるまじき違法(鑑定精度、結果について虚偽の説明)な取り調べを行ったことについては最後まで謝罪しませんでした。違法な手段によって得た証拠には証拠能力が認められないのですが、今までその事実は闇に隠ぺいされてきたのです。
足利警察、地検のお粗末、かつ恣意的な決めつけ捜査によって無実の人間を長期にわたって服役させたばかりか、真犯人の逃亡を手助けした許しがたい犯罪的行為と言う他はありません。また、いい加減な証拠を見抜けなかったばかりか再三に亘った再審請求を拒み続けた裁判所の罪は誠に重大で、再発防止についての明確な決意や防止策が国民に明らかにされないのは司法の実態がいかにいい加減であるかを物語るものです。
今日は民主党の小沢幹事長の政治資金を巡る巨額な金銭疑惑についての聴取が予定されていますが、捜査の行方を誤らせないように、後世に禍根を残さない公正な執行を願うばかりです。
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