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2010年1月 4日 (月)

聖岳遭難に思う

聖岳頂上付近で2日午後から救助を要請していた夫妻が、本日昼前県警ヘリによって無事救助されました。まずは一安心と言ったところですが、いくつか疑問が残ります。

第一は日程の問題です。計画の詳細は明らかになっていませんが、29日入山、2日に茶臼岳から井川側に下山の予定だったようです。状況から聖東尾根を登り聖岳を経て縦走する予定だったのではないかと思いますが、現場からは下山に優に2日間はかかります。救助の通報が2日16時10分ごろですから最終日の午後になってから無線で救助要請をしたことになります。

本来であれば31日中か遅くとも1日の早い段階で稜線に抜けていなければ時間切れとなってしまいます。昨年末は30日以降荒天となっていたので行動制限や予想以上の積雪で時間がかかり、体力を消耗したのではないかと思いますが、それならもっと早く引き返すべきでした。稜線までは山中で無線が通じ難いので、見通しが利く稜線まで強行して消耗してしまったと言うのであれば本末転倒です。

二番目はパーティーの分裂の問題です。アマチュア無線機を携帯しているのであれば無理に下山して通報する必要はなく、なぜリスクが伴う単独下山をしたのかです。誰が下山を決定したのか、通報が本当の下山理由なのか疑問が残ります。

三番目は何故稜線に留まり続けたのか、です。今回は比較的天候が安定しており、装備もそろっていたので救助隊から動かないよう指示を受けた可能性もありますが、南アルプスの稜線上は大変強い季節風にさらされます。昨日は視界が悪く、夕方になってやっとヘリが現場を視認できたので、救助は翌日回しとなりましたし、今日も強風で接近が難航し、やっと11時過ぎに救助出来たものです。もし自力行動が可能で、小聖岳付近まで降りていることが出来たら、もっと早く救助可能だったと思われます。

今日は北ア、寺地山でも山岳ガイドに率いられた7人がヘリで救出されています。ガイド氏によれば、3mのドカ雪で1日に600mしか下山出来なかったとのことですが釈然としません。もちろん人命第一なので救助要請は当然ですが、本来冬山とは自力行動が当たり前です。困難を乗り越えて行動することも必要ですが、行動不能で進退きわまる前に行動を中止し、安全に撤退することこそ優先されなければなりません。

今回年末に低気圧が通過することはあらかじめ判っていたことです。低気圧が過ぎ去るまで安全圏内に留まるのが正解なのですが、多くの登山者は限られた休日をフルに使って登山しているのが実情です。しかし今回の遭難も何が一番優先されるべきか、各自がもう一度良く考える事例だったと言えるのではないでしょうか。

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コメント

毎年繰り広げられる事故...

それなりの力量がある方が登っているのでしょうから、素人同然の私がどうこう言う筋合いでもありませんが、天気予報でかなり前から年末年始は荒れ模様と言っていたのに決行しなければいけなかったんですかね。

現在、ふたつ目低気圧(本州上空で2個の低気圧が並列している状態)が猛威をふるっているようですね。
まだ、救助されていない人たちの生存はかなり難しいでしょう。

危険を冒してまで山に登る...「山に魅せられた」の一言で終わらせて良いのでしょうか?

投稿: 山奥 | 2010年1月 5日 (火) 20時02分

山奥さん、コメントありがとうございます。そもそも山に登らなければ山岳遭難事故は起こらないのですが、今回の聖岳の遭難は???だらけです。
改めて日程を検証すると、順調に行動出来てギリギリの計画だったとしか思えません。31日に稜線に立てなかった時点で撤退すべきだったのに、なおも2日もかけて登り続けた神経が理解出来ません。聖岳まで行けばどこでもドアがあるとでも思っていたのでしょうか?
下山の日数や時間を逆算して行動のリミットを設定するのが定石だと思うのですが、今までが幸運の連続だったのか、そんなことも経験できなかったことに驚くばかりです。

投稿: 雨辰 | 2010年1月 5日 (火) 20時25分

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