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トヨタのリコールについて

トヨタが欧米で販売した乗用車やSUVのアクセルペダルに不具合があり、最悪の場合アクセルが戻らないことが明らかになったので、対象車種230万台と空前の台数をリコールすることになりました。対象車種は北米で調達された米部品メーカーのアクセルペダル機構を使用していることから国内生産車は問題なしとされています。
前回のフロアマットにアクセルペダルが引っ掛かる不具合については純正外のマットによるものであり、必ずしもトヨタの責任とは言えないものでした。今回は構造に起因するので第一義的には開発・製造した部品メーカーに責任があるのですが、それを採用したトヨタの責任は免れません。リコールして改修するのは当然です。

しかも更に奇妙な問題が残ります。それは不具合の原因が何故か詳しく伝えられないことです。構造自体は誰でも目に出来る部分であり、特に秘密にしなければならない理由は無い筈です。1月22日付けの中日新聞Web版は次のように伝えています。

トヨタ側の調査によると、リコール対象車種ではアクセルの付け根の可動部分が繰り返しの使用ですり減り、そこに車内ヒーターの使用で発生した結露が入り込むと可動部分の摩擦抵抗が大きくなることが分かった。

しかしこの記事の内容は疑問です。自動車部品は通常、想定する何倍もの使用回数で耐久試験を行い、摩耗に対しては防止策を講じます。わずか数年で摩耗するような部品を大手部品メーカーが作ることも考え難いことです。

今までの全ての断片的な報道からの情報を総合するとどうも次のような状況のようです

①アクセルペダルの仕組みの中に可動する金属部品を樹脂の部品で保持する機構がある。

②結露によって生じた水滴が樹脂の部分に入り込みと摩擦が大きくなって金属部品が動かなくなって、ペダルが戻らなくなる。

ここで疑問なのは、何故樹脂に水分が付着すると摩擦が増えるのかと言うことです。一般的に金属同士が接触すると摩擦は大変大きくなりますが、金属と樹脂の組み合わせでは摩擦は小さくなりますし、水の付着は摩擦を減らす方向に作用します。考えられる要素としては水と共に異物が付着することですが、自動車はあらゆる使用状況を想定して対策が講じられているので普通では考えられないことです。

もうひとつの要素としては樹脂の膨張です。意外に思うかも知れませんが、樹脂は金属と同様に熱によって膨張するのですが、木材のように水分によっても膨張します。このことは樹脂に関しては常識ですから、当然部品メーカーもトヨタも認識がないはずはありません。
問題の部分には摩擦が小さく、温度や水分に対して膨張が小さい材質が選定されなけれている筈です。

疑問を解消すべく更に情報を探し続け、それらを総合すると何とか原因らしいものが見つかりました。やはり樹脂部品の膨張によってクリアランスが失われ、摩擦が増加する現象の様です。最初にも書きましたが、自動車は様々な条件下で使用されます。極寒から猛暑、乾燥から土砂降りの気象条件下でも変わらぬ性能を求められます。結露は戸外駐車では普通に発生する現象です。あまりに普通に起きる現象だったからそこが盲点になってしまったのかも知れません。
ただ発端は何であれもしも原因がそういうことであるのなら、可動部分の樹脂が水分によって膨張し、作動不良を起こす原因となったと言う事実は広く伝えられなければなりません。何故かWhathは伝えられるのですが、Whyについては中々伝えられません。トヨタは不具合に関して事実をありのままに公表し、マスコミはそれを正しく伝えなければなりません。
どういう訳か、日本では今のところ今回の不具合について原因を伝える報道がありません。これがトヨタの暗黙の圧力、またはマスコミの過度の自粛によるものでないことを願うばかりですが、事実が正しく伝えられない現状は嘆かわしいばかりです。近いうちに詳しい報告がなされ、内外の消費者が安心できる対策が講じられることを期待します。

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コメント

樹脂は本質的には金属に比べ信頼性が低いので人命に関わるものには使わないのが設計の基本。材料強度よりもコストや軽量化を優先してきているのでは。

投稿: 多賀 | 2010年2月15日 (月) 07時56分

多賀さん、コメントありがとうございます。私は樹脂の専門家ではないので確かなことは言えませんが、エンプラならアルミ並みの引っ張り強度を持っており、自動車でも様々な場所で使われています。
今回のアクセルペダルの場合は強度にかかわる部分ではないので、樹脂の使用そのものが悪いと言うことは一概に言えないのではないかと考えますが、クリアランスの設定などが適正でなかった可能性はあり、開発段階の検証が不十分だったことは否めないと思います。

投稿: 雨辰 | 2010年2月15日 (月) 18時00分

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