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普天間の迷宮

沖縄普天間の米軍基地移転問題が混迷を続けています。普天間飛行場は市街地の中にあり、騒音や墜落の危険性がかねてから問題視されて来ました。現実にヘリの墜落事故が発生し、自民党政権下で交渉を繰り返した結果、辺野古沖を埋め立てて滑走路を新設することで米国と合意に達していました。この案に落ち着いたのには埋め立て費用だけで3300億円程度が見込まれ、大きな利権が発生するからだとも言われています。

しかし、民主党は沖縄県民が抱える基地の負担が軽減されていないとしてこれを否定し、県外・国外移転を主張して、社民党もこれに賛同しました。では具体的な見通しがあったのかと言えば、両党とも具体案はなく願望を思いつくまま口にしてしまっただけのことでした。福島党首などは未だにグァム・サイパンを考えているようですが、米軍から明確に否定されており、政治家ではなく夢想家としか言えません。更には進展を心配したオバマ大統領に鳩山首相は「私を信頼して!」とまで言い切ってしまいましたが、勿論なんの算段もなかったのです。
これではいかんと思ったのか、鳩首相は一応今年5月までにと自ら期限を切りました。枝葉末節ながら本来なら4月中と解釈するのが妥当だと思うのですが、いつしか5月末までがタイムリミットと微妙に期限が伸びています。

問題がこじれた最大の理由は民主党も社民党も現実を全く見ない事です。勝手にグァムだ九州だと候補地を挙げてしまいましたが、なぜ今も海兵隊が普天間基地に駐留しているかを全く理解しようとしていません。
米軍に限らず、今も昔も大規模な戦争を始めようとすればそれなりの準備が必要です。大量の物資や人員を現地まで輸送しなければなりません。しかし、海兵隊はそれとは関係なく他の三軍が到着するまでの間、有事に即応するのが最大の任務の部隊なのです。そして即応能力を維持するために、①近隣に常時使える訓練場と②揚陸艦が接岸できる港湾、緊急輸送のための③輸送機が離発着できる飛行場が必須となります。このことを理解しなければ、この問題の解決はあり得ません。なのに相手のニーズを考慮せずに、思いつくままに候補地を考えても時間と経費の浪費でしかありませんでした。

現在キャンプ・シュワブ内に滑走路を建設するシュワブ陸上案が与党内で有力になりつつありますが、立地的に新たな騒音問題が予想されることや、米軍が必要とする1500m級の滑走路の確保は難しいとされています。あちらを立てればこちらが立たないクロスワードパズルを解くようなものですが、民主党自らが言い出したことなので、今さら逃げることは許されません。また、自民党も過去の怠慢を棚に上げて民主党を攻撃していますが、目先の党利党略でなく、まず普天間の危険な状況と騒音問題を解決すると言った大所高所に立った対応が求められます。
沖縄県内では県内移設反対の声が高まっており、その気持ちも十分理解出来るのですが、あまりBESTを追い求めていると米軍から普天間の固定化と言う大反撃もあることも念頭に置くべきです。

何にしても交渉事と言うのは相手あってのことなので、交渉に臨む前に何もかも手の内を見せてしまうしまうのは得策ではありません。責任者にある程度の権限を与えたら、交渉過程はオフレコにしないと相手の信頼は得られません。政権に残された時間を考え、現実的な対応を急ぐべきだと思います。

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