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遠隔地地震による津波の予報

日本時間先月27日午後3時34分に南米チリで発生した地震により、およそ1日経過した28日午前になって、気象庁は最大で3mの津波が来襲する恐れがあるとして各地に大津波、津波警報を発令しました。その後の調査で、実際の津波の高さが最大でも1.5m程しかなかったと見られることから住民避難の指示が適切だったのかについて一部に疑問の声が上がっています。
気象庁は当初地震の規模をM8.5と算出し、津波の規模を1mと予想しました。しかしその後、米国地質調査所が地震の規模をM8.8としたことや各地の津波観測の数値が予想よりも高かったことから再度シミュレーションしたところ、波高1mと3mの二通りの結果が出た為、最悪の事態を考えて警報の発令に踏み切ったものです。

今回は長時間の避難指示となってしまいましたが、幸い世間では気象庁の判断を好意的に受け止めています。しかし、今後のことを考えれば予報の精度を上げてもらわなければなりません。津波の第一波の到達時間については、現地との距離(約18000Km)と津波の伝搬速度(深度5000mで約800Km/h)によって算出が可能で、今回もほぼ予想の時間に到達しています。問題は波高の大きさですが、これについては経路となる太平洋に観測ポイントが限られている為大変困難となっています。
米国海洋大気圏局が運用しているPTWC太平洋津波警報センターでは海底に海底津波計を設置して遠隔地の潮位を測定して予報に役立てており、気所庁もこのデーターを活用しています。しかし、広い太平洋上の限られた地点での情報に頼るのは危険でもあります。では我が国独自の観測網はないのでしょうか。

現在ではブイに搭載したGPSを利用して海面の高さを測定することが可能ですが、残念ながら沿岸地域以外には設置されていないようです。もし1000Km程前方で津波を観測出来れば、避難する時間が1時間稼げます。我が国も早急に南方海上に観測ブイを設置すべきではないでしょうか。
では航空機による観測はどうなのでしょう?いろいろ調べてみましたが、どうやら現在のところ波高を直接測定出来る機体は波高計を装備した海自の救難飛行艇US-1AとUS-2しかないようです。海面の様子を画像で監視出来るのはこれ以外でも合成開口レーダーを搭載した、同じ海自の哨戒機P-3Cでも可能ですが、こちらは洋上監視が任務なので、観測した波高を明らかにすると相手に手の内を知られることになってしまうので残念ながら情報の開示は出来ないと思います。

波高計については、秘密のベールに包まれているのか詳細は明らかではありませんが、一般に使われている電波高度計を応用したものではないかと推測されます。すなわち、海面に向けて短い波長の電波を照射し、その反射時間から海面までの距離を測定する方法です。一定の高度で飛行しながら、海面までの距離に変化があればそこに波浪があるのが分かる理屈です。US-2は機体特性で3mまでの波高までしか着水出来ないので、飛行中に波高を知ることは安全に直結します。言いかえればUS-2は飛行しながら3mまでの波高をかなり正確に測定出来ることになります。
US-2は巡航速度470Km/hで10時間の飛行が可能なため、単純計算すれば470x5=2350Kmと約2000Km前方で津波を捉える事が可能と思われます。

予報の精度向上は気象庁に頑張ってもらうしかありませんが、もし省庁の壁が越えられるのであればUS-2を利用してみるのも一つの方法ではないかと愚考してみた次第です。

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