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2010年4月22日 (木)

F-Xはどうした

現在我が国の防空任務に就いているのは航空自衛隊の-15J、F-2、F-4EJの3機種の戦闘機ですが、その内F-4EJは導入から30年を経た機体なので流石に限界となっています。
自衛隊は中期防衛力整備計画によって保有する戦闘機の定数を従来の300機から260機へと1割以上も減らすことになったことから量より質の方針を取らざるを得ず、F-4EJの後継には最強の戦闘機と言われているF-22を希望していました。ところがF-22は最新のステルス性能を誇ってはいるのですが、その分価格は高く、ステルスを維持する費用も洒落にならない金額が必要なため、軍事費には糸目をつけない米軍も音を上げて早々に生産を打ち切ってしまいました。また、機体が持つ世界最高レベルの機密を保持するため、他国への供与を禁止する議会決議も足かせとなりました。

それではと米国が現在同盟国と開発中のステルス戦闘機F-35Aを候補の一つとしていますが、こちらは国際共同開発が災いして開発が遅延し価格の倍増が見込まれる事態となり、実戦配備の時期さえ明確となっていません。量産に漕ぎつけた場合でも、共同開発国は応分の出資をしていますので優先的に配備することを要求します。我が国は武器輸出三原則にとらわれ過ぎて、この開発計画に参加していないため仮に望んでも最後尾になる可能性が強いものと考えられ、F-4EJの退役までにF-35が導入できるのはかなり疑わしいのが現状です。

またF-35はステルス性能を高めるため、搭載するミサイルは機体内部のウェポンベイと呼ばれる部分に内蔵する仕組みになっています。機体の大きさには制限がありますから搭載できるミサイルにも制約があります。我が国は敵対国の巡航ミサイルの攻撃に備えるため、AAM-4と呼ばれる国産の対空ミサイルを装備していますがF-35には機内搭載できません。またAAM-4を発射するためには専用の送信機が必要となりますが、追加の改造が認められるかはi今のところ明らかになっていません。それなら搭載ミサイルを輸入すれば良いではないかとなりますが、輸入には相手国の都合がありますから、好きな時に好きなだけの数が揃えられる保証はありません。また搭載可能なAIM-120AMRAAMは対航空機用であり、我が国の要求とは必ずしも合致しません。どうしてもとなれば、従来機のように翼下に吊り下げることになりますが、ステルス性は大幅に低下して機体特長を生かせない事になります。以上のことから現状ではF-35は我が国には向いていない機体であると言えるのではないでしょうか。

航空自衛隊がF-22やF-35Aに拘ったのはステルス性のためと考えられます。相手レーダーに捉え難くするステルスを実用化しているのは今のところ米軍しかなく、ある意味当然なのかも知れませんが、ではステルス機は絶対的な存在かと言えばそうではないと言う意見もあります。ステルス機はレーダーに反射する面積を数値化したRCSを極限まで少なくして相手のレーダー探知を困難にするものですが、0にはできません。レーダーに映る映像は小さな点となりますが、それが飛行機であると認識されれば探知可能であると言うものです。

事実北朝鮮の弾道ミサイル発射騒動の時、ミサイル探知用の最新レーダーFPS-5が鳥をミサイルと誤認して大騒ぎになりましたが、逆に言えば鳥程度のRCSのステルス機は探知出来ることを実証したことになります。
現在開発中の先進技術実証機の「心神」ではRCSの特性からレーダー上は虫以上で中型の鳥以下の大きさに映るとされていますからこれが本当であれば「心神」も捕捉可能である訳で、実機が完成すれば実際に飛ばしてレーダーにどのように映るのかを観測することになっています。

また防衛省の技術研究本部では航空機搭載の高性能レーダーと赤外線センサーで広域をカバー、ステルス機や巡航ミサイルのほか上昇中の弾道ミサイルも早期探知が可能な遠距離探知システムやF-15のレーダー、IRST(赤外線捜索追尾装置)、電子戦対策を一体化させた先進統合センサーを機首部に搭載して探知の難しいステルス機なども確実に捕捉できるようにする技術を開発しているとされています。

これらのことを考え併せると将来的にはステルス機は探知可能で絶対的なアドバンテージを持ったものではないと考えられます。で、あるならば現在手に入れることが出来る機体を確保するのが現状ではベストの選択ではないかと思われます。一部には設計年度の古い機体では今後30年間持たないから駄目だとの意見がありますが、新たな機種が導入できる目途が付いた時点で、一番性能が劣る機体を高等練習機に振り向けるウルトラCもあり得るのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

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