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2010年5月12日 (水)

翔けろ!IKAROS

国産ロケットと言うフレーズももうすっかり当たり前になってしまいましたが、来週18日(火)午前6時44分にHⅡ-Aの17号機で金星探査機「あかつき」が種子島宇宙センターから打ち上げられます。技術の進歩によって衛星の小型化が進み、HⅡ-Aロケットの打ち上げ能力に余裕が生じているので、このところ相乗り衛星が一緒に打ち上げられます。今回も大学などが制作した小型衛星が4基搭載されますが、もう1機JAXAの小型ソーラー電子セイル実証機「IKAROS」(イカロス)が打ち上げられます。

IKAROSは宇宙空間で7.5ミクロンと言うアルミを蒸着した大変薄い帆を広げて太陽光を推進力とする、いわば宇宙ヨットのような衛星です。太陽光にエネルギーがあることは太陽光発電や温水機で知られていますが、光そのものの圧力があることも彗星の長い尾が太陽の反対側に曲げられることで良く知られています。
太陽光の圧力は地上では約4.57 ×10-6 N/m2と大変小さいのですが、IKAROSのセイルは200m2もあり、宇宙空間では空気の抵抗がないので無限の推進力として利用できると言う訳です。更に全体の10%にあたる20m2には同じように薄い太陽電池が貼られ電力も供給できるようになっています。

太陽光を推進力に使う構想は随分以前からあったようですが、軽量で大きなセイルを作る技術が追い付かなかったことと、同様の構想をもっていた米国の衛星が打ち上げロケットの不調から打ち上げそのものに失敗してしまったため、本格的な実証機はIKAROSが最初となります。順調に行けば、太陽を回りながらソーラーセイリングの運用を実証して、将来の惑星探査機の推進力となる技術の習得にあたります。

ギリシャ神話の青年は太陽に近づき過ぎて墜落してしまいましたが、HⅡ-Aロケットも改良が進んで安定した打ち上げを続けていますので成功裏の打ち上げを信じています。きっと宇宙帆船として無限の宇宙をいつまでも飛び続けてくれることでしょう。

翔けろ!IKAROS

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