何だかなあ
口蹄疫の被害が留まるところを知りません。お粗末としか言いようのない農水大臣は国の措置に齟齬はなかったと胸を張っていますが、手塩にかけた牛や豚を発症もしていないのに殺さなければならない畜産農家の心中を思えば、国民に向けての口の利き方を100年修行してから出直して来いと言う他はありません。
宮崎県は県が管理する49頭の種牛に発症が見られないので、殺処分の対象から外すように国に求めましたが、国は例外は好ましくないとの理由でこれを認めない方針のようです。しかし、一般の飼育牛と今後の全国の畜産経営に大きな影響を与えかねない種牛とを同率に論ずるのは如何なものでしょうか。今の政府の論法は「お上が決めたのだから下々はただ黙って従えば良い」との姿勢が透けて見えてなりません。鳩山首相は施政方針演説で命を守りたいと何度も連呼しましたが、畜産に携わる農民の命、心を慮っているとは到底思えません。
思えば鳥インフル、新型インフル、そして口蹄疫と国は何時も初動での封じ込めに失敗しています。これだけ国境を越えた人的交流が活発になった現代では、海外から何時ウィルスが持ち込まれても不思議はありません。そして病気に潜伏期間がある以上は感染が発見された時にはその周囲に相当感染が広がっていると見るのが当然です。
しかも消毒は限られた関係者に対してのみ行われているようですが、ある情報ではTVクルーが無消毒で発生近隣地区を走り回り、感染を助長した疑いさえあるようです。外国では一般通行車両にも車体全体に消毒液を噴霧して効果を挙げているようですが、この辺も行政、特に国の取り組みは甘かったと言えるのではないでしょうか。
今回、封じ込めに失敗してから全頭処分を行うための時間稼ぎの目的でワクチンが初めて使用されましたが、最初から使用してしていればこのような広がりを招くことはなかった筈です。農政に誤りはなかったなどとの寝言は布団の中だけにしてもらい、二度とこのような不手際を繰り返さないように今回の事例を詳細に検証して今後に備えてもらわなければなりません。
| 固定リンク
コメント
大きな誤解があります。
でも、それをここで延々書き記すこともどうかと思います。
国民から見たら納得いかないことばかりなんでしょうね。
この世界は、魑魅魍魎が蠢き、世界的な私利私欲が働く、常人には理解しがたいと思います。
ただ、私は、今実際に現場で行われていることを少なからず支持しています。
投稿: 山奥 | 2010年5月27日 (木) 19時05分
山奥さん、コメントありがとうございます。
連日お疲れのことと思います。
>大きな誤解があります。
実は多分そうだろうなと思いながらこのエントリーを書きました。一般国民は十分な知識がないまま、事態はどんどん深刻化してしまいました。ただ、国が家畜伝染病予防法を盾に全頭殺処分を迫るだけで、用地確保や農家の経営保護策を一向に明らかにしなかった姿勢に強い疑問を感じていました。
ウィルスの疫学的なことは分かりませんが、豚は牛の1000倍の感染力がある、ワクチンの効力は6ケ月程度、鳥インフルとは違って致死率は10%以内などの情報に接すると、何か上手い取り組みがあるのではないかと考えてしまいました。
ただ、農水正副大臣の発言は内容の正否は別として、発病していない健康そのもの家畜を殺さなければない農民のPTSDに襲われるまでの心の痛みを思いやるものではない表現だったのも事実です。
法律の順守はその通りかもしれませんが、実際の有事に備えた訓練も行っていなかったのに、現場に迅速な行動だけを強いるのは如何なものでしょうか?種牛の問題にしても、遅まきながら県の判断で分散飼育を実施しましたが、本来なら国のレベルで指針があって然るべきではなかったのではないでしょうか。
国の農政は全てが他人ごとのように聞こえてしまいます。
投稿: 雨辰 | 2010年5月27日 (木) 22時31分