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北沢防衛相のインド訪問

北沢防衛相が4月29日から今日までの日程でインドを訪問しています。彼の訪印については普天間問題の軽視だとか、訪問の理由が分からないなどの声がありましたが、残念ながらその人こそ国際問題の何たるかが全く理解出来ていません。日本と中国は東シナ海を隔てて国境を接していますが、近年中国は米国への対抗から海軍の増強が著しくグアム島方面への展開を図っています。最近も10隻の艦隊で我が国の排他的経済水域を横断し、沖の鳥島周辺で米軍を想定したと思われる演習を行っています。


その中国は陸上ではインドとカシミール地方の帰属をめぐって長年武力衝突を繰り返して来ました。インドが核保有したのは先に核保有した中国と軍事バランスを取る為に他なりませんし、先頃国産の戦略原子力潜水艦アリハントを就役させたのも中国が保有する戦略原子力潜水艦に対抗する為です。
良く言われる言葉に敵の敵は味方と言うものがあります。日・中は現在決して敵対している状況ではありませんが、急激に軍事力を増強し、その目的についての開示に消極的な姿勢を取り続ける中国については警戒を持って接しなければなりません。片や中・印は未だ一触即発の緊張関係にあります。このような中国に国境を接する日本とインドが協力関係を築くのはお互いの安全保障にとってとても有益です。それは、もし中国がどちらかの国に対して軍事力を行使しようとする場合、万一に備える為に反対側の国境付近についての兵力をおろそかに出来なくなるからです。その為、攻撃に振り向ける兵力が限定されることになり、結果として攻撃のハードルが高くなって紛争の機会が減ることになるからです。

今回の訪印はAKアントニー国防大臣の招聘によるものであり、今後も中国が軍事的膨張を続ける限り、日・印両国の関係は緊密、強化されることになるでしょう。
その北沢大臣がインドでの記者発表で、中国海軍の日本近海での活動活発化を受けて南西諸島への自衛隊配備に向けた調査費を2011年度予算に計上する方針を明らかにしました。


従来我が国は宮古島のレーダーサイト以外、沖縄本島以南の南西諸島への部隊の配備を行って来ませんでしたが、これは先の大戦で戦火に見舞われた住民感情に配慮したり、中国への刺激を避けるためとされて来ました。しかし、それを良いことにこれまで中国艦船が我が物顔に横行して我が国の主権が脅かされる状況となっており、流石に住民の間にも不安が広がっていました。また、深刻な人口減少問題もあり、自民党政権末期には自衛隊招致運動が持ち上がり、通信部隊の派遣が予定されていました。ところが、昨年親中国の鳩山政権の誕生によってご破算になってしまいましたが、ここに来て現政権もやっとその重要性に気が付いたようです。


ところで、自民党政権下で通信部隊の駐屯を予定していたのには訳があります。実は離島の防衛と言うのは攻めるに易く、守るに難しいと言うのが定説です。これは進攻側は時期や手段、方角を自由に選定出来ますが、守備側は一定の装備、兵力しか保有していないからです。つまり想定外の大規模な兵力や破壊力に勝る火力で攻撃された場合、対抗する手段が無い訳です。かつてのフォークランド紛争の時、少数の英国守備隊が圧倒的なアルゼンチン軍の前に降伏するしかなかったのが好例です。


我が国の防衛方針でも離島防衛は無理に防衛するよりも進攻された後、奪還する方が合理的であると考えられています。それは島々に差し向ける兵力は限られたものにならざるを得ず、しかもそれはその島に固定されてしまいます。一方後方に待機していれば、必要な場所に必要な戦力を効果的に投射することが出来るからです。ですから、今回の方針変更でも重装備部隊を派遣することにはならないと思います。例え通信部隊と言えども自国領土の防衛部隊の一員ですから、その部隊を駐屯させることは領土防衛の明確な意思表示となり得るのです。それよりも2011年度予算ではなく、今年度にやることの方がより重要ではないでしょうか。調査費などは知れていますし、2010年度予算の予備費で十分賄える筈です。要は国家としての意思表示が何より大切だと思います。

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