US-2、海の守り神
我が国は四方を海に囲まれており、残念ながら海難事故も多発しています。また、国防上も広い洋上を他国の艦船による攻撃や侵犯に備えなければなりません。このような背景から海上自衛隊では哨戒機を多数配備しており、防衛任務だけでなく海難事故の捜索にも大いに貢献しています。但し、航空機であることから万一の事故も当然考えられる訳で、それに備えて洋上での救助が可能なUS-2救難飛行艇を海自が配備しています。
US-2については任務の性格上、配備機数が限られるために1機当たりの製造コストが高額となり、予算の無駄遣いとの批判する意見があります。高価なUS-2を配備しなくても救難ヘリで十分カバーできるとの論法です。しかし、先月US-2の面目躍如な出来事がありました。
犬吠埼東方630Kmの太平洋を航行中の漁船の船員が急病になり救急搬送が必要になったのです。救難ヘリUH-60Jの航続距離は1295Kmですから、もより基地からの距離を無視しても現場までの距離が遠すぎます。
すぐさま海自のP-3CとUS-2に出動命令が下り、現場に先着したP-3Cが後続のUS-2を誘導して、着水。患者を収容して羽田空港まで救急搬送したというものです。
救難飛行艇はこれまでも離島の救急患者の緊急搬送を行って来ましたが、ヘリの2倍以上の飛行速度と4倍近い航続距離は我が国の地理的特殊条件下ではなくてはならないものと言えるのではないでしょうか。今日、飛行艇を運用する国はあまり多くないようですが、だからと言って他国のまねをすれば良いと言う訳ではありません。漁業や海運関係者の万一に備える装備として、今後も堅持されるべきと考える次第です。
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