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無責任な、あまりに無責任な

既にマスコミで詳細に報道されていますが、昨日浜名湖で中学生の乗ったカッターボートが転覆し、船体内側に取り残された一年生の女子生徒が亡くなる事故が発生しました。昨日の静岡県西部地方は昼前から時折猛烈な雨が降る梅雨本番の天気で、夕方からは風雨が強まることが予報されており、事故の一報を聞いた時に率直に無謀な事故だと思いました。事故直前の時間帯に浜名湖の東岸を走行しましたが視界が悪く風もあって、とても操船訓練に適した天候とは思えませんでした。

今回の行事は県立三ケ日青年の家(静岡県教委所管、「小学館集英社プロダクション」運営委託)に宿泊しながら野外活動を行うものでしたが、まず当日の天気でボートを出す神経が分かりません。マスコミにコメントを求められた誰もがあの天候下でカッターを出すことの危険性を指摘していますが、決して安易な結果論とは思えません。

運営側には豊富な海洋訓練のノウハウがあるとされ、警報が出ていれば中止、注意報下であれば利用側と協議して可否を決定すると運用規則があったとのことですが、プロの救難隊員の訓練ならいざ知らず、全くの素人集団に対しては無謀としか言いようがありません。注意報が発令されていなくても天候の急変への対処も考慮されるべきで、教育訓練であるならば、まずこのような天候では危険予知をして中止するのが生きた教育というものです。

しかも、運用側も学校側も注意報の発令を知らず、協議すらしていなかったとあってはもはや犯罪です。昨年、北海道トムラウシの山岳ツァーでガイドが引率しながら大量遭難者を出した教訓が全く生かされていません。

また、県教委も運営を任せきりでなく、悪天候下での運用規則を事前に把握していれば安全性を重視したものに改善させる事が出来た筈です。また、転覆後の消防、警察への通報も第三者からなされたとの報道ももし事実であれば、危機管理上大問題です。

更に救援に駆け付けた消防関係者が生徒達を収容するのに2時間近くを要したのも問題です。幸いライフジャケットの着用が功を奏したものと思いますが、荒天時に長時間海水や風雨に曝され続けるのは被害拡大の危険性があり大変危険です。事故発生が15時30分頃、行方不明者の発見が17時50分頃とされていますが、もし救助が手に余るのであれば、すぐ近くに空自浜松基地の救難航空隊があるので速やかに救難ヘリの出動要請に踏み切っても良かったのではないかと思います。
また強風で消防のボートでは満員のカッターボートの曳航が上手く出来なかったとのことですが、浜名湖は遊覧船も運航しており、これらの事故にも対応力がないことが露呈してしまいました。

今回は学校行事における大変不幸な事故でしたが、一切の膿を出し切って再発防止策を講じなければ亡くなった生徒も浮かばれません。亡くなられた生徒のご冥福をお祈りするとともに、関係者の猛省を望むところです。

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コメント

お久しぶりです。

痛ましい事故ですが、人災です。

原因は、名ばかり指導者と自然から乖離しすぎた人間にあります。

湖は川の様な流れが無く、海の様な波や海流が無いと甘く見がちですが、風が吹けば海並みの波やうねりが出ます。琵琶湖では、風や波による転覆事故が毎年起こっています。そういった認識が指導者に無かったのでしょうか?

ボートのけん引は簡単なものでは無く、特に動力やかじ取り(漕ぎ手)を失ったボートのけん引ほど厄介な物はありません。
カヤックでカヤックのレスキューを行う場合でも、無人のカヤックをけん引すると、多くの場合、横波をくらって転覆させてしまいます。

今回の場合も、モーターボートで手漕ぎボートをけん引するのではなく、先に漕ぎ手の学生をモーターボートに乗せて救助すべきでした。

頭の中でいくら理解しても、実体験がなければどうしようもありません。
先生方もまず自分で身をもって体験するべきです。

投稿: 山奥 | 2010年6月19日 (土) 20時01分

山奥さん、コメントありがとうございます。カヌーも事故防止の意識が深まっているようですが、今回のように強風時の中止要件が風速10m以上では到底転覆事故は防げないと思います。今回もそれ以前にうねりによる船酔いで操船不能に陥ってしまい、当該のカッターボートは転覆寸前の大変危険な状態でした。
おそらく、このような状況下の救出手順が全く決められていなかったために、救出側が慌ててしまい、無理に曳航しようとして横波を食らってしまった事故のようです。

出航を強行したのも無謀なら、救出方法もお粗末で、頼みの消防による救出も鮮やかとは言いかねる状況だったようで不運が重なってしまいました。そもそもどうしてこのような気象条件下で訓練を強行する必要があったのか全く理解出来ません。

県教委はコストカットで民間委託したつもりだったのかも知れませんが、水上での訓練が主体の施設であれば、きめ細かな安全管理が求められるのに、注意報発令下での出航を認めるようでは人命軽視どころか、人命無視と言われても仕方ありません。無責任で杜撰な運用がむざむざ若い命を散らす結果を招いたことに強い怒りを禁じ得ません。

過失ばかりを追求するなとの声もあるようですが、何より優先されるべき安全が軽視されたことに対しては各々の責任が問われるのが当然です。二度とこのようなことの起きることがないよう、徹底した原因究明がなされなければならないと思います。

投稿: 雨辰 | 2010年6月19日 (土) 22時44分

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