« 再び一票の重さについて | トップページ | 物足りない »

2010年7月16日 (金)

10式戦車

昨夜BSフジのBSプライムニュースで、自衛隊の次期主力戦車である10式戦車の配備の是非についての2時間特番がありました。与野党の防衛関係者と元陸自幹部、軍事ライターとの討論形式でしたが、フジ側の資料映像がほとんどなく、各自の意見の羅列で消化不良の印象でした。

10式戦車は現行の90式戦車が北海道での戦車戦を想定し、大きく重くなりすぎて、結局本州以南に配備されなかったことを教訓に1世代前の74式を更新するために開発されました。90式の打撃力と防御力を向上させながら、74式並みのコンパクトさと俊敏さ、C4Iと呼ばれるデータリンク機能が売り物です。

2年前に初めて報道陣に試作車両が公開された時には大きな話題となり、中国国営テレビまでが特番を組みましたが、中国の方が10式戦車の特長や能力を的確に把握して冷静に論評していたように思います。番組中、視聴者からの意見として周辺国への脅威となるから配備しない方が良いとの意見が紹介されましたが、今までどこの国からもそのような声は上がっておらず、いい加減国情を考慮しないその手の考え方からは脱却した方が良いと思います。そもそも周辺国の保有台数は実働分に限っても桁が一つ違います。

事実中国は日本同様大きくなりすぎたことを反省して、小型軽量に新規設計した0910工程戦車を開発中しており、韓国は90式に近いサイズと重量ですがK1戦車の能力向上を目指したK2戦車を開発しています。どちらも搭載砲やデータリンク機能など10式戦車とほぼ同じような仕様となっています。つまりはどこの国も同じ方向を目指しており、普通の運用をしている限り他国への大きな脅威とはなり得ませんが、我が国が今のままで留まれば逆に脅威は増してしまうことになります。
軍事ライター氏は新戦車を作るより、既存戦車を改良した方がコストパフォーマンスが良いとの自説を展開していましたが、それなら中国や韓国が何故そうしないかについては説明がありませんでした。

我が国は防衛大綱で今後の戦車の定数を600両としています。各師団への配備数は機密事項で明らかにされていませんが、公開された資料から推測して北海道と九州の配備数を引き算すれば、本州への配備数は250両あまりとなります。これでは、今後脅威が高まった時に原発などの重要施設や空港、港湾施設への警護で展開をしようとしても単純計算で1県当たり6両程度しか配備できません。更に減数を望むような意見もありましたが、何故それで対応が可能なのか、数を踏まえた検証は見られませんでした。

物足りなさが残る内容ではありましたが、2時間枠でこの手の問題を論じることは大変意義があると思いましたので、今後の第二、第三の企画に期待したいと思います

|

« 再び一票の重さについて | トップページ | 物足りない »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 10式戦車:

« 再び一票の重さについて | トップページ | 物足りない »