8の字軌道の謎
GPS測位衛星みちびきが準天頂軌道に投入され、本格的な運用への準備が整いました。準天頂衛星は日本の真上付近の高い位置に衛星を配置できる軌道を飛行しますが、そのためには8の字を描く軌道を取る必要があります。ところが私にはどうしても何故8の字飛行が可能なのか理解できませんでした。人工衛星は地球の周りを円または長円の軌道で周回している筈です。8の字で飛ぶ為には頻繁に軌道修正を繰り返すのか、と思いましたがそうではありませんでした。
通常静止衛星は赤道上の正円軌道にありますが、これに対して角度の付いた別の軌道を設定し、日本の位置から見れば円軌道にありながら8の字を描いているように見えるのだそうです。事実は意外とシンプルでした。みちびきの場合は衛星の位置を最適化する為に傾斜角41°となり、若干の長円軌道となっています。
準天頂軌道は天頂付近に衛星を配置出来るのですが、静止衛星ではないので1日のうち8時間程しか真上付近にいられません。24時間常時1基を利用する為には3基体制が必要になるのですが、予算が都合出来ず今後の目途が立っていません。みちびきは本来通信機能も持たせて、野外や移動体での通信を発展させる目的もありました。災害時や海上など携帯電話の使いにくい状況でも、直接衛星経由で通信が出来ればその利便性は大変大きなものです。官民が協力し、早急に後継機を打ち上げて、システムとして完成させて欲しいものです。
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