次期哨戒機P-1調達について
17日付けの毎日新聞が「対中警戒強化」の見出しで、防衛省が今後5年間で国産新型哨戒機のP-1を10機調達する方針であると伝えました。記事では現行のP-3C哨戒機が老朽化によって20機退役する予定でしたが、P-1の調達数が10機なのでP-3C10機を延命措置した上で今後も使い続ける予定であるとも伝えています。
この記事は大変誤解を招きやすい記事だと思います。見出しで「対中警戒強化」と謳っておいて、その実予算の制約から必要数の半分しか更新できない事を明らかにしており、P-3Cの稼働状況によっては果たして強化になるのか疑問です。
また、今後5年間がいつからなのかもはなはだ曖昧です。と言うのは記事にもありますが、今年度予算で1機発注済みで、来年度の概算要求では3機を要求しています。仮に次期大綱の平成23年からの5年間であれば残り4年で7機となりますから1年当たりにすれば2機にも満たない数字です。P-3Cは派生機を含めて23年間で110機ほど調達されましたので、単年度で5機の計算です。
P-1の導入数は約80機ほどと言われていますから同じように20年をかけるとすれば、年間4機のペースでないと調達が追い付きません。つまり5年間で10機と言うのは計算上大変少ない数量で、数の上でも能力上も「強化」と呼べるものではありません。
尖閣諸島での中国漁船の事件以来、国民の間に対中警戒論が高まっていますので、それを意識した見出しになったのかも知れませんが、ちょっと内容とそぐわないように思いますので、正確な表現をお願いしたいと思います。
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