H3ロケット
HTV2号機の「こうのとり」を打ち上げる予定だったH-IIB2号機は悪天候で22日に順延されてしましたが、無事に打ち上がることを願っています。さて、H-IIAロケットの後継機について構想が発表されました。H-IIA、Bロケットは1段目に液体燃料エンジンのLE-7A、2段目にLE-5Bを備えた2段式で、補助ロケットとして固体式のSRBを使っています。
これに対してH3ロケットではLE-5B後継となる2段目エンジンを3基クラスターにした1段目を採用した3段式として有人宇宙船の打ち上げにも使用するものとしています。1段目をクラスター化するのは万一1基が不調になっても残りの2基のエンジンで飛行を続けることが可能になるためとしています。また現在は打ち上げに必ず使用している固体エンジンのSRBは、有人宇宙船の打ち上げでは信頼性に不安があるために使用しませんが、衛星のみの場合には推力確保のために使用するとしています。
米国のスペースシャトルでもメインエンジンは3基となっており、クラスター化すること、2段目と共通化してコストダウンを図ることは良いことだと思いますが、SRBに信頼性がないとすることには同意できません。なぜならスペースシャトルのSRBは再使用されるため、6ヶ所をゴム製のOリングで接合する方式でしたが、H-IIロケットのSRB-Aは使い捨てであり、炭素繊維強化プラスチック製で一体成形されていて燃焼ガスの漏えいは起こり得ません。
また、打ち上げコストの低減化を図りM-V型の後継を目指しているイプシロンロケットは一段目にSRB-Aを採用しようとしていますが、そんなに信頼性がないのならどうしてメインエンジンに使おうとするのか訳がわかりません。
固体ロケットは構造が簡単なだけに、実際の運用には様々なノウハウが必要なことは分かりますが、我が国の固体ロケット技術は世界最高水準でありその信頼性を貶めるような論法はいかがなものかと考える次第です。
また、もし我々には知らされていない技術的に重大な問題が存在するのなら、それはそれで明らかにした上でクリアすべきではないでしょうか。何にしても有人飛行に向けてのプロジェクトが実現することを期待したいと思います。
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