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甦った悪夢

23日に中国で起きた高速列車追突事故は事故の真相を巡って混迷を深めています。鉄道を管理する鉄道省は、中国では強大な権力を持った一大政治勢力のようで当初は強権で事態を隠蔽しようとしましたが、国民の事故処理に対する反発を恐れた中央政府が昨日になって温家宝首相を現地に送り、事態の鎮静化を図る方針に転じました。午後には今まで落雷による設備故障とされていた事故原因についても、信号システムの欠陥によるものとする中間報告が明らかになりました。

今回の事故は停車した列車に後続列車が追突したもので、我が国では起こり得ない事故との論調が見られますが、過去には追突事故・衝突事故が繰り返され、そのたびに信号システムが改良された経緯があり、決して対岸の火事ではありません。今回の事故に接して甦ったのは信楽高原鉄道の正面衝突事故です。

信楽高原鉄道事故は1991年5月14日午前10時35分頃、信楽駅を発車した信楽高原鉄道の列車と信楽駅に向けて走行中のJR西日本の列車が単線区間で正面衝突し、死者42名・重軽症者614名を出した大事故です。信楽高原鉄道はもともとJRの支線だったものを信楽町が経営の主体となった第三セクターとして分離したものです。当時信楽では世界陶芸祭が開催されており、輸送力強化のためJR西日本が信楽駅に乗り入れており、両社の信号系統が複雑化し、更には無断改修によって予期せぬシステムエラーが起こり得る状態となっていました。発車信号が青に切り替わらなくなったにもかかわらず、信楽高原鉄道の列車が信楽駅を発車したのが事故の原因ですが、先に走行区間に進入した列車があった場合には信号を切り替える仕組みをJR側が勝手に自社を優先する仕組みに変えていたことにより、両列車の運転士は全く気付かぬまま正面衝突が起きてしまったものです。

当日午後、私は仕事で現場近くを走行していましたが当初は事故の規模は全く分かりませんでした。ラジオの臨時ニュースで列車事故が起きたことは知っていましたが、後ろから追い抜いて行った白バイが現場に通じる国道を通行規制し始めたのは発生から2時間以上経ってからの事でした。その後徐々に事故の大きさが明らかになったのですが、列車が大破したこともあって夜になっても救出作業は続いていたように思います。

列車運行の場合、単線であれ複線であれ同一線路上を走って良いのは1本の列車が基本です。単線だった信楽高原鉄道では陶芸祭での輸送力増強のため、駅と駅の中間に待避所を設けて、優先される列車が通過後に待機していた列車が発車できる仕組み(新幹線が駅に停車中にのぞみが追い抜いて行くようなイメージです)を作り、時間当たりの運行本数を増やす工夫をしていましたが、かつては同じ会社だったのに第三セクターによって別会社となってしまったことにより、両社の基本システムが異なるものになってしまっていたことやコミュニケーションの不足が事故に繋がってしまいました。

前方の列車への追突防止策としては、一定区間内に列車が走行している場合その区間の後ろの区間の信号を赤にして、次の列車が進入出来ないように制御しています。もし、運転士が信号を見落とした場合には、ATS(列車自動停止装置)が作動して強制的にブレーキが働く仕組みです。我が国新幹線は全てこの方式が採用されており、在来線でもATS化が進められています。中国の高速列車制御システムについては川崎重工の技術を基にしているとの話がありますが、果たしてどこまで安全性を高めていたかは分かっていません。
最近の中国の運行事故では落雷が原因との報道が多くなっていますが、中国では架線への落雷があった時に、雷による高圧の電気を地面に逃がす放電装置が未設置のままとなっているようです。架線や送電設備には落雷が付きものなのにこれはどうしたことでしょうか?こんなところが安全軽視と批判を受ける所以かも知れません。一日も早い事故の全容解明が望まれます。

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コメント

我が国が核攻撃を受けたらどのような事態が発生するか。
我が国の原発が大事故を起こしたらどうなるか。
疾走する弾丸列車が貨物列車に激突したらどのようになるか。

悪夢は見たくない。いつまでも能天気でいたい。
天下泰平の気分を壊したくない。

自分に都合の良いことだけを考えていたい。
それ以外の内容は、想定外になる。

ただ「間違ってはいけない」とだけ注意を与える。
「人は、誤りを避けられない」とは教えない。
「お互いに注意を喚起し合って、正しい道を歩まなくてはならない」とは、考えていない。

もしも自分にとって都合の悪いことが起こったら、びっくりする以外にない。
そして、「私は、相手を信じていた」と言い訳するしかない。だから、罪がないことになる。

危機管理は大の苦手。
だが、ナウな感じのする犯人捜し・捕り物帳なら大好きである。毎日テレビで見ている。

日本語には時制がないので、未来時制もない。
未来の内容を鮮明に正確に脳裏に描きだすことは難しい。
一億一心のようではあるが、内容がないので建設的なことは起こらない。
お互いに、相手の手を抑えあった形である。すべては安全のためか。不信のためか。

問題を解決する能力はないが、事態を台無しにする力を持っている。
親分の腹芸か、政党の内紛のようなもの。
今回の事件はわが国の国民性を色濃くにじませている。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

投稿: noga | 2011年7月29日 (金) 19時07分

nogaさん、コメントありがとうございます。都合の悪いことは起こる筈がないとするのは先の大戦でも我が国の悪弊として指摘されていますが、中国鉄道省も同じ穴のムジナだったようですね。過去に学ぶ姿勢が大切だと思います。

投稿: 雨辰 | 2011年7月29日 (金) 21時15分

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