からっ風の風物詩
からっ風と言うと、かかあ天下と並ぶ有名な上州名物ですが、遠州地方もからっ風で有名です。中央アルプスに雪を降らせた北西の風は遠州平野にからっ風となって吹き荒れます。このからっ風を避けるために、この地方では家の周りに槇の木を植えて生垣を作り、寒さを凌いで来ました。流石に昨今では生垣のある家は少なくなってきましたが、冬のからっ風は今でも健在です。
嫌われもののからっ風ですが、かつてはそれを利用する生活の知恵がありました。沢庵は日本を代表する漬物ですが、少し前まではは各家庭で冬を前に漬けられたものでした。脱穀が終わった後、稲束を乾燥するに使ったハズ(稲ハズ、稲ハサとも言うようです)に収穫した大根を架け、からっ風で乾燥させてから漬けこんで沢庵を仕込みました。
そんな風景があちらこちらで見られたものですが、近頃では米もコンバインによる収穫で、ハズも作られなくなってしまいましたのでガードレールがその代役を果たすようになったようです。かつては我が家でも1年分の沢庵を漬けていましたが、それも遠い過去の出来事となってしまいました。ガードレールの大根を見て、そんな当時のほろ苦い記憶が甦りました。
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