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2014年7月 6日 (日)

C-2輸送機開発遅延は許容の範囲

先の記事にも書いていますが防衛省が開発しているC-2次期輸送機の開発が機体トラブルによって遅延しています。今月4日、防衛省は当初2014年度末とされた部隊配備を2016年まで延期すると発表しましたが、これによって開発費が800億円増加するとされたことが批判的に報道されています。今回の開発費の増加を受けてC-2の開発費は3400億円となる見通しですが、ジェット旅客機と同じ高度を同じ速度で飛行可能な野心的なスペックを持つ輸送機はC-2のみで、それを考えれば、これは大変少ない金額です。

よく引き合いに出されるエアバス社の軍用輸送機A400Mも開発が大変難航しましたが、こちらは最終的に310億ユーロ(現在のレートで4兆3090億円)です。A400Mは180機生産される予定ですが、1機当たりに割り振るとなんと239億円と予定機体価格189億円よりも高い金額となってしまいます。ちなみにC-2の生産予定数は派生型を含めて40機とされていますから1機当たりで85億円、機体価格と合わせても261億円で、A400Mの合計金額428億円よりも1機当たり167億円もお得な計算です。

国産装備は割高だから安いA400Mを輸入すべきと吹聴している軍事ライターもいるようですが、どのような計算をすればそうなるのか理解に苦しみます。
また、C-1輸送機はターボプロップのC-130型で置き換えろとも言っていますが、速度・航続距離ともC-2とは比較位にならず、震災の支援を行ったハイチの例ではC-130では給油のため3泊4日を要したものがC-2では1泊2日で現地に到着可能です。

エアバス社の名誉のために書き添えれば、A400Mは燃費向上(航続距離の延伸)のため、ターボプロップの新型エンジンを同時開発していますのでそちらの開発費も上乗せされています。機体開発のみで搭載エンジンを輸入したC-2はその分開発費が安くなるのは当たり前かも知れません。
但し、搭載エンジンをどうするかは当事者の裁量で決める訳で、新型エンジンの開発を決めたのはエアバス社の都合なので、その責任はエアバス社に帰するのは当然です。

また開発期間の長さについても、A400Mが1996年開発開始で2009年12月初飛行であるのと比べて、C-2は開発開始が2002年で初飛行が2010年1月と、むしろ短いくらいです。
旅客機メーカーとして多くのスタッフを抱え、豊富な資金やノウハウ・知的所有権を持っている筈の業界の巨人ボーイングでさえ、B787の開発では2004年の開発開始から2009年12月の初飛行まで6年の歳月を要しています。大型機の開発はおろか、新型機の開発そのものの機会に恵まれない国産メーカーととしては大いに健闘していると言えるのではないでしょうか。

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