吉田調書と朝日新聞
原発事故処理に陣頭指揮で当たった、元福島第一発電所所長の故吉田昌郎氏の聴取記録、「吉田調書」を巡って波紋が広がっています。事故当時の当事者達の生々しいやり取りについて、詳しく記録されている「吉田調書」については事故の全容を把握し、検証する立場から早くから公開を求める声が上がっていました。しかし、吉田氏が亡くなってしまったことや生前に公開を望まなかったとされることから、これまで非公開とされていました。
しかし朝日新聞が「所長命令に違反 原発撤退」(5月20日付朝刊)と原発所員が吉田所長の眼入れに反して福島第二発電所に全員撤退したとスクープ報道したことから、その公開を迫る声が高まっていました。政府もこれらの声に押される形で来月初めに公開することを決定したものです。
週刊誌やネット上には既に調書の内容が明らかにされていますが、撤退問題に対しては吉田氏は明確に否定しています。安全を考え、一部の人間を一時的に避難させたが、あくまで被害者を出さないための緊急避難であって、撤退などではなかったと明言しています。朝日新聞はもう一つの「吉田問題」でも裏を取らずにねつ造記事を基に多くの記事を執筆しましたが、この問題でも関係者に確認を取れば容易に事実関係を把握できることをせずに、悪意としか思えない記事を垂れ流した行為は本当に悪質だと思います。
「吉田調書」には当時の東電本店とのやり取りの他、民主党政権、中でも菅首相のどうしようもない対応ぶりについても触れられており、今後起きるかも知れない重大事故や災害における指導者の対応の仕方や仕組みについて大いに参考になるものと期待されます。
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