城春にして
国破れて 山河あり
城春にして 草木深し
時に感じて 花にも涙を濺ぎ
別れを恨んで 鳥にも心を驚かす
有名な杜甫の春望の一節です。ここで言う城は城塞ではなく周囲に城壁をめぐらした都市のことで、戦乱に荒れた長安の都や我が身の不遇を詠ったものです。一見華やかな春の情景の中に感じた、我が国の荒城の月にも通じる、やるせない気持ちを詠った名作です。
浜松城は家康が築いた城として知られていますが、明治時代に全ての建物が失われ、残った石垣も浜松市によって一部が取り壊されてしまいました。桜の花に彩られると昔の栄華が殊更に偲ばれます。
二の丸があったところは現在は小学校になっています。少子化の影響でこの小学校も廃校になることが決まっています。栄枯盛衰。
今年は家康没後400年に当たります。400年続いた徳川政権を打ち立てた家康が、この地を拠点にしていたのだと思うと感慨深いものがあります。
天守は戦後になって鉄筋コンクリートで復興されたものですが、当初の天守も家康ではなく秀吉配下の武将、堀尾吉晴によって築かれたと考えられています。
中国の人たちは日本の文化財や史跡の保存状態が良好なことに感心するようですが、もしかすると各地の桜の存在が大きいのかも知れません。
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