臭いものにフタでいいのか
愛知県が県営名古屋空港に設置を予定している航空産業の展示施設に、我が国の第二次大戦の主力戦闘機である零戦を展示する意向であることに対し、反対する意見があると朝日新聞デジタル版が伝えています。
豊山町長の鈴木幸育(ゆきやす)氏は(72)は「若い子にそういうものを見せて、興味を持たせたくない。いたずらに使われたドローン(小型無人飛行機)と一緒です。僕は戦争反対ですから」と反対意見を述べるが、これは少々おかしな意見です。
第二次大戦に日本が参戦し、米英相手に戦ったことは事実ですし、戦争を通じて零戦が主力戦闘機として一万機以上が製造されたことも事実です。戦争の賛否は別として実際に存在した航空機を展示することは航空史の上からも意義のあることです。ちなみに史上初のロケット兵器であるV-2号ですが、ドイツの博物館では戦争の歴史として展示されています。
戦後、我が国では兵器イコール悪であると言う風潮がまかり通ってしまいましたが、現に存在した兵器そのものの存在を否定することはナンセンスです。零戦は工業力で劣っていた我が国が、どうしてもエンジンの馬力を向上させることができず、機体の軽量化による空力特性によって活路を見出した航空機史に残る機体です。産業史として展示することに全く問題はありません。
航空自衛隊浜松基地のエアパークに展示されている零戦の機体。これのどこが戦争に加担することになるのか判りません。零戦は戦争初期には華々しい活躍をしましたが、工業力に勝る米国がそれを上回る機体を投入してからは、互角に戦うことが出来なくなってしまった光と影に彩られた歴史を持つ航空機です。
我が国現代の歴史を知る上でも、日本の航空機や工業の発展の過程を知る上でも大変貴重な資料です。多くの国民に公開する機会を持つことは大変有意義なことだと思います。
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