対艦弾道ミサイルについて考える
中国が抗日70周年を記念して式典と軍事パレードを行ないました。1949年に建国した中国が、1945年に日本に勝利したのは時系列的にあり得ないと言うことは置いておきますが、他国を攻撃するしか用途のない弾道ミサイルを多数保有し、空母「攻撃用」対艦弾道ミサイルと称するDF-21Dを配備しておいて、自国の兵器は防御用で他国に脅威を与えるものではないと言ってもお笑い種でしかありません。
そのDF-21Dミサイルについて、これで米空母は東シナ海や南シナ海には近づけなくなったとする論調がありますが、まったく同意できません。弾道ミサイルは発射後大気圏外まで上昇し、弾道飛行をして目標近くで大気圏に再突入し目標を破壊します。この再突入時には大気との摩擦で大変な高熱になり、レーダーや赤外センサーなどは使用不能になると言われています。
通常原子力空母は30ノット(時速55.5Km)で航行しますが、この空母を弾道ミサイルで狙った場合、着弾までにかかる時間とその間に進む距離を計算してみました。
空母までの距離を1000Kmとし、打ち上げ角を45度とした場合、ミサイルの飛行距離はピタゴラスの原理からおよそ1500Kmとなります。ミサイルの速度は公表されていませんが、マッハ10(時速約12000Km)と仮定します。これを計算するとミサイルの飛行時間は0.125時間→450秒 、空母の移動距離は約6.9Kmとなります。
つまり、高速で飛行する対艦弾道ミサイルは大気との摩擦熱で高温になって、相手空母を捕捉する手段がなく、ある時点の位置を狙って発射しても現場に着く頃には相手は7Kmも先に行ってしまい命中どころではありません。つまり、全く使えない兵器なのです。もし、本当に空母を沈めることが可能なら、ミサイル先進国である米国やロシアがとっくに実用化しています。
かつて中国は米国の核兵器を使うことのできないない兵器だと馬鹿にして、「張り子の虎」と揶揄しましたが、実用にならない対艦弾道ミサイルこそが全く使えない兵器で「張り子の虎」に他なりません。口は禍の元とはよく言ったものです。
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