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2015年10月10日 (土)

ロシアがシリアに巡航ミサイル発射も一部がイランに着弾

ロシアはかつてイラン・イラク・シリアに自国兵器を供給していました。サダム・フセインが倒れ、シリアが内戦で混乱の極致にあろうとも、武器輸出国の地位を守ろうとしているのはまさに死の商人そのままです。現在、ロシアはシリア領内に空軍を派遣し、劣勢になった政府軍を支援していますが、ヨーロッパへの難民の多くが政府軍の無差別攻撃から逃れたシリア国民であることを考えれば、国際世論と逆行する行為です。

シリア政府軍は長引く内戦で、武器弾薬を使い果たし、最近ではドラム缶に鉄片を混入した「樽爆弾」を、反政府勢力の支配地域に無差別に投下して国民を殺傷しています。ロシアが公然とシリア支援を始めてからは、ナパーム弾やクラスター爆弾が使用されるようになっており、難民の被害が拡大しています。

そのような中、7日にはカスピ海に展開中のロシアのフリゲート艦など4隻から26発の巡航ミサイルがシリアに向け発射されました。ロシアは米国の巡航ミサイルのトマホークに類似した最大射程2500Kmとされる「カリブル」を保有しており、初めて実戦での投入となりました。カスピ海からシリア領内までは、経路にイラクやイランを経由することから前述の武器供給のネットワークを生かして事前に領空通過の了解を得たものと考えられます。

「カリブル」は慣性誘導+衛星位置測定システムによる誘導方式を採用し、終末誘導はレーダー誘導によって長距離精密誘導が可能とされていましたが、米国などの情報によれば26発中4発がイラン領内に着弾したと言うことです。慣性誘導だけでも命中精度(CEP)は100m前後は確保されている筈なのに数百Kmの誤差を生じたのでは精密誘導兵器の名に値しません。政治的な思惑から、非道なアサド政権の瓦解を食い止めようと軍事介入しても、虎の子のミサイルが明後日の方向に飛んで行くようではとんだお笑い種です。

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