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2015年10月16日 (金)

豪への潜水艦輸出問題

オーストラリアはスェーデンのコックムス社の設計で自国で建造したコリンズ級潜水艦6隻を運用していますが、潜水艦の建造実績に乏しかったのが原因で、当初想定した性能を手に入れることはできませんでした。そこで、新たに大型の通常動力の潜水艦12隻を導入する構想を建て、この分野で実績のある我が国に輸出を打診してきました。

当初、武器輸出3原則によって実現性に疑問が持たれていましたが、その後武器輸出の要件が緩和されたことから、にわかに現実味を帯びることとなりました。当時のアボット政権はコリンズ級の失敗の経験から全数を自国の造船技術を見限り、日本からの完成品の輸入を想定していましたが、地元住民や企業から雇用確保の観点から自国建造を主張する声が高まったことから、ドイツやフランスと言った日本以外の国も含めて入札による決定に方針を転換しました。その後、ターンブル元党首の挑戦を受け党首選を行いましたが、党首の座を失い、首相を退陣することになりました。

オーストラリアは長大な海岸線を持っているため、長期間の航海が可能な排水量4000トン級の大型潜水艦を希望していますが、諸外国では自国周辺での比較的短期間の航海しか要求されないため、原潜を除いてこのような大型の通常動力潜水艦を建造したことがありません。潜水艦の輸出国として実績のあるドイツでもせいぜい2000トン止まりです。そのため水中排水量4200トンのそうりゅう型潜水艦の運用実績のある我が国の技術力に注目したのは当然と言えば当然のことでした。

コリンズ級の失敗からも判るように潜水艦の建造は独特の自術が要求されるようで、お隣の韓国もドイツからのライセンス生産で排水量1860トンの204型潜水艦を建造しましたが、スクリュー騒音が大きい欠陥が発生したりと順調な運用とは程遠い状況のようです。我が国は、1909年に国産初の第6型潜水艦を就役させて以来、脈々と受け継がれて来た100年以上の潜水艦の建造実績がありますが、新規参入の壁は予想以上のものがあるようです。

我が国でも太平洋戦争以前は船体をリベットで接合する方法でしたが、強度では溶接構造に敵いませんでした。戦後1960年になって、米国の技術支援により初めて溶接構造のおやしお型潜水艦を建造し、現在に至っています。

現在オーストラリア政府の決断待ちとなっている新型潜水艦導入問題ですが、どんなけっかとなるのでしょうか。その結果に注目したいと思います。

Photo

X型の舵が特徴的なそうりゅう型潜水艦。 (海上自衛隊HPより引用)

http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/ss/soryuu/501.html

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