H-IIAロケット29号機打ち上げ成功!
昨日午後4時前に、種子島宇宙センターから打ち上げられたH-IIAロケット29号機は打ち上げからおよそ4時間半後の午後8時17分頃、搭載した衛星を分離して静止軌道へ投入、初の商業衛星の打ち上げは無事成功しました。
今回、搭載衛星の燃料消費を抑えるため初めて2段目エンジン停止後もそのまま飛行を続けるロングコーストを行い、静止軌道近くで再々着火して増速して分離を行ないましたが、いずれも作業は順調に終了しました。この結果を受けてマスコミ各社は商業衛星打ち上げ時代到来と盛んに報道しています。このこと自体は大変喜ばしいことだとは思いますが、少し気になることがあります。
それは、先行するアリアンロケットが赤道に近いギアナの基地から打ち上げることによって、静止衛星の軌道投入時の燃料消費の点で有利であり、北緯30度の種子島から打ち上げるH-IIAが不利なことは当初から判っていた筈なのに、その対応が今になったのは何故かと言うことです。
ロングコーストは、これまで打ち上げ後30分で衛星を分離していたのに比べて、更に4時間と言うこれまでより8倍の時間にわたって飛行を継続します。この間、太陽光をまともに受けて機体温度が上昇し、搭載した液体燃料が蒸発し易くなります。また、静止軌道投入前に増速を行なうため、2段目エンジンの再着火(実際には再々着火)が必要で、いずれもこれまでより高度な技術が必要となります。
しかし、これらは先行するロシアのプロトンロケットは従来から行なってきた方法で、今回H-IIAが初めて行なった訳ではありません。つまり、H-IIAはライバルよりも遅れていたのです。我が国の衛星の打ち上げについては、従来省庁が主管するものばかりでしたので、コストに対する意識よりも、まず成功ありきの姿勢であったのも止むを得ないことだったのかも知れません。しかし、打ち上げ事業が三菱重工に移管されたのが2007年ですからもう
民間衛星打ち上げ需要の開拓も三菱が行なうことになって、受注できない理由の一つが今回の打ち上げ時の衛星搭載燃料の消費の問題です。ネックの一つが解消されたことは歓迎すべきことですが、いささか時間がかかり過ぎたのではないでしょうか。
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