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2015年11月19日 (木)

MRJに続け!H-IIAロケット29号機が打ち上げ間近

日本の主力ロケットであるH-IIAロケットは世界水準との評価ですが、発射場が種子島にあるため、赤道近くから打ち上げているライバルのアリアンロケットに比べて静止軌道への衛星打ち上げに不利と言われて来ました。これは打ち上げ後に、衛星を遷移軌道と呼ばれる楕円軌道から静止軌道に移行する際に消費する衛星に搭載した燃料の消費が赤道に近い地点から打ち上げた方が少なくて済むためです。

元々打ち上げ費用が外国よりも高いと言われて来ましたが、この静止軌道への投入に伴う燃料消費が運用年数を数年分減らしてしまうことが最大のネックとなり商業衛星の受注では苦戦を強いられ続けて来ました。そこでこれを打開するために、H-IIAロケットの運用方法を見直し、2段目ロケットの再々着火による増速など衛星の搭載燃料の消費を抑える打ち上げ方法を改良したのが「基幹ロケット高度化」プロジェクトです。

今月24日に打ち上げ予定のH-IIAロケット29号機はこの「基幹ロケット高度化」の第一号となります。29号機は初めての民間衛星の打ち上げを受注したもので、カナダTelesat社の通信放送衛星Telstar12VANTAGE 重量4.9tの打ち上げを目指します。観測衛星と違い、静止軌道で長年運用される静止衛星は、長く運用することがコスト削減に直結しますので、これまでのように衛星の燃料を大量に使用しなければ静止軌道に投入できないようでは競争に太刀打ちできませんでした。

この「基幹ロケット高度化」によってか、2016年打ち上げ予定でスカパーJSAT衛星を、2017年打ち上げ予定でUAE(アラブ首長国連盟)の観測衛星ハリーファサットの民間衛星の打ち上げ受注が決まっています。これまで中々民間の打ち上げが受注できなかったのが嘘のような状況です。将来的には打ち上げ費用を大幅に低減させたH-Ⅲロケットの開発が待たれますが、これまで官需が中心だった我が国の打ち上げビジネスにもやっと陽が当たり出したようです。

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