機動戦闘車の導入
安全保障において、過去何度も戦車不要論が持ち上がっています。が、その都度現実の戦争や武力紛争によって戦車の有用性が認識され、今日まで戦車が各国の陸軍において主要な装備となっています。カナダでも一時戦車は不要とされましたが、アフガニスタンにおける戦闘で戦車の有用性が再認識され、戦車を再配備することとなっています。
さて我が国の場合、周囲を海に囲まれた島国で、陸続きの敵国から戦車で侵攻されることはあり得ないので戦車は不要だと言われ続けてきました。ただ、広大な北海道においては旧ソ連の大戦車部隊の上陸による大規模侵攻が在り得るとして強固な装甲と120ミリ砲を備えた90式戦車が300両ほど配備されています。それ以外の地域には74式戦車が配備されていますが、何しろ40年ほど前の戦車ですから最新式とは言い難く、早くから更新が叫ばれてきました。
ではいっそ、74式戦車を退役させて戦車を廃止すればとの論もありますが、周辺国では中国が上陸作戦で投入可能な海上航行も可能な05式水陸両用戦車を大量配備しており、大変な脅威となっています。力の空白を生むことは新たな緊張を招いてしまいますので、これに対して備えなければなりません。そこで開発されたのが機動戦闘車です。重量は26tと90式戦車の半分ほどで、現在開発中のC-2輸送機で輸送することが可能です。
ご覧のように戦車のようなスタイルをしていますが、キャタピラではなくタイヤで走行する車両です。戦車は長距離を移動するのが苦手で、移動の際は貨車やトレーラーで移動させますが、機動戦闘車は高速道路を100Kmで走行して移動が可能なため、その名の通り機動性に優れています。この機動戦闘車が配備されれば、進攻側は同等以上の装甲車両が必要となり、進攻に対する抑止力が高まります。
来年度予算では259億で36両が要求されており、早期の配備が期待されています。
| 固定リンク
コメント