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2016年1月 8日 (金)

山岳遭難者探索新システム

8日付の中日新聞朝刊社会面に、山岳遭難者探索システムについての記事が載っていました。紙面の制約があるのは仕方がないところですが、少々舌足らずのような気がしました。記事を要約すると以下のような内容です。

遭難者の捜索に電波を利用するのは効果的であるが、これまで富山県が冬季の剣岳登山者用に実用化した通称「ヤマタン」は、使用する周波数が低いので電波の特性上、探知が難しく、探知距離も短かった。そこで、直進性があり方位が特定しやすい150MHz帯が使用できるよう電波法を改正し、富山県立大学が今冬(2016~2017年)実証実験を行なう。使用する機器は特定小電力トランシーバーほどの大きさで携帯性に優れ、受信側はタブレット端末に位置情報を表示でき、遭難者の居場所を簡単に把握できる。探知距離は最大で4Km程度、雪中に埋没しても探知が可能。

この記事だけでは良く判らないので、「山岳遭難者探索システム」で検索してみると以下の情報がヒットしました。総務省北陸総合通信局作成の「山岳遭難者探索用ビーコンシステム高度化に関する検討会 報告書」(平成17年3月作成)です。http://www.soumu.go.jp/soutsu/hokuriku/resarch/houkoku.pdf#search='%E9%81%AD%E9%9B%A3%E8%80%85%E6%8E%A2%E7%B4%A2%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0'

これを読むと記事で足りなかった部分が良く判りますが、こちらは実証実験をしたのが今から10年前なので、使用機材もかなり大きくなっています。当時は特定小電力の機器で使われる420MHz帯の428MHzで行なわれ、想定通りの結果を残しましたが、直進性が高すぎることによると思われる所見もあり、もっと低い周波数での検討の必要性が述べられていました。(報告書47ページ)
これ以降についての情報は確認できませんでしたが、検討の結果、野生動物の監視などで実績のある150MHzが好適であると言う結論に落ち着いたようです。また発信機の出力は、特定小電力として特別な許可や免許が不要な10mWであるようです。

警察庁の統計による平成26年度の山岳遭難の原因では、1位が道迷いで1163件(41.8%)、2位が滑落で501件(17.9%)、3位が転倒で401件(14.4%)となっています。登山の範囲がハイキングから本格的な冬山登山までとなっていますから、どこまで深刻だったかは一概に言えませんが、道迷いの場合は外気温によっては救出までの時間が生死を分けることにもなりかねませんので、このような物が実用化されれば、その効果は大変大きいものと思われます。

普及に対してはイタズラ防止策や義務付けなど、運用面の工夫が必要だと思いますが、早期に事故や遭難を把握し、効率的な救助が可能となることが期待できますので、実証試験の結果が待たれます。

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安曇野から見た5月の北アルプス常念岳です。

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