中東がきなくさい
サウジアラビアが、王政に批判的な立場のシーア派の宗教指導者ら47人の死刑を執行したことに対し、シーア派が多数を占めるイランの民衆が激怒、興奮した暴徒がテヘランのサウジ大使館に乱入して狼藉を働いたことで、サウジがイランとの国交を断絶し、外交官の国外退去を通告しました。さらにバーレーンやスーダンもサウジに追随してイランと断交を表明して、中東における緊張が一気に高まっています。
サウジは世界最大の産油国として豊富な資金を背景に各国から兵器を購入し、F-15を230機、タイフーンを42機、トーネード攻撃機を80機を保有し、その外に米国製最新型戦車M1エイブラムスを配備しています。
一方のイランもかつては米国製の最新装備を導入していましたが、イラン革命後の米国との軋轢で最新式の航空機は導入できず、F-14トムキャット36機、Mig-29が40機、F-4ファントムが72機となっており空軍力では分が悪い状況です。しかし、海軍力ではサウジの5倍近い395隻の艦船を保有しています。また、北朝鮮や中国からミサイル技術を導入し、射程2000Km程度の弾道ミサイルを多数配備しています。
昨年安保関連法案の審議においてホルムズ海峡の機雷封鎖問題が議論され、当時は野党側から現実的でないと否定されましたが、万一両国が戦火を交えることになれば、この問題が一気に現実のものとなります。
2014年度の実績で我が国の原油の輸入はサウジアラビアから6301万KL(31.6%)、イランから979万KL(4.9%)と合わせて全体の36.5%を占めています。ペルシャ湾が戦場となった場合、船舶保険が無効となりますので、機雷封鎖の有無に関わらず、この分の輸入はストップすることになります。
イランは、核開発をめぐる欧米との対立が昨年解決した直後であり、シリアなどでISとの戦闘を抱えていますので、積極的に撃って出ることは考えにくいのですが、今回のようなサウジの出方によっては前述したような相手に痛撃を加える能力は保持しています。ここ当面は中東の情勢から目が離せないようです。
航空自衛隊のF-15J戦闘機。
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