H-IIAロケット30号機を12日に打ち上げ予定
北朝鮮のテポドン2号の改良型を使った発射実験を巡り、ロケットだ、いや事実上のミサイルだと議論が分かれましたが、根本的に意味がありません。今日のロケットやミサイルの原型はドイツが開発・運用したV-2号が原型になっており、戦後米・ソに渡った技術者が中心になって発展を遂げました。米国の宇通開発の中心的な役割を担ったフォン・ブラウンもその一人です。
人類初の人工衛星は、1957年10月4日にソ連のR-7ロケットによって打ち上げられたスプートニク1号ですが、R-7は射程距離8800km、液体燃料エンジンの2段式ICBMです。
また米国はその4か月後の2018年1月31日にジュノーⅠロケットによってエクスプローラー1号を打ち上げましたが、ジュノーⅠロケットの原型もまたPGM-11と言うSRBM(短距離弾道ミサイル)でした。
つまり、人工衛星打ち上げ技術は弾道ミサイル技術から派生したものであり、ロケットエンジンや誘導技術はミサイルにも転用可能なものだからです。北朝鮮がいくら衛星打ち上げだといっても(現時点で衛星と称されるものからの通信が一切確認されておらず、本当に地球探査衛星だったのか極めて疑わしいと思われます)、打ち上げに伴って収集された各種データーは北朝鮮が保有するすべての弾道ミサイルのバージョンアップに寄与します。
つまり、呼び方の如何に関わらず、あれは国連決議違反の弾道ミサイル実験に間違いなかった訳です。
さて、本題です。まぎれもなく衛星打ち上げロケットであるH-IIAロケットが打ち上げるのは、X線天文衛星ASTORO-Hです。天体から出るX線やガンマ線を観測し、宇宙の謎の解明に取り組みます。また、H-IIAロケット30号機では衛星分離機構に爆薬を使用しない新方式を搭載して機能の確認を行ないます。
打ち上げ成功を期待したいと思います。
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