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2016年3月11日 (金)

原発差し止め判決に違和感

大津地裁は9日、関西電力の高浜原発について滋賀県住民が起こした稼働差し止めの訴えで、住民勝訴となる原発稼働停止の仮処分を決定しました。この決定を受け、関西電力は今年1月に再稼働したばかりの3号機を10日夜緊急停止しています。

原発に反対の立場を取るマスコミは画期的な判決としていますが、私には国が定めた原子力規制員会が決めた新基準の中身にまで踏み込んだ決定に違和感を感じています。

決定の中で「原発事故の原因追及が道半ば」とし、新基準に適合していれば福島のような事態にはならないと言う姿勢は「非常に不安を覚えるといわざるをえない」としていますが、独断が過ぎる気がします。

福島の事故は津波による電源喪失により冷却機能が失われ、高温となった格納容器が高圧となっても圧力放出のベントが行なえずに水素爆発を起こして放射性物質が飛散したものです。この事故を教訓に非常電源を高所に設置して電源を確保することや放射性物質の放出を防止するフィルター付きのベントを設置する対策を取っています。

過去の大きな原発事故と言えば、米国のスリーマイル島、ウクライナのチェルノブイリの事故ですが、事故後に対策が取られ同様の再発例はありません。事故には必ず原因があり、その原因について対策することで再発を防止するのが事故に対する正しい取り組みです。その中には有効な対策が取れなかったり、対策は取れるが費用がかかり過ぎることを理由に使用を停止する選択肢も含まれます。

しかし、今回の決定は対策を過大に要求し過ぎており、現実的でないように感じられます。
原発は巨大なシステムですから、一つの部品に不具合が生じてもシステムに異常が発生する可能性があります。そのためにシステムを二重、三重に構築してこれがだめでもあちらで対処できるようにしています。

また、場合によっては故障時に残存した機能を使って操作を代替することも可能です。小惑星探査機「はやぶさ」や金星探査機「あかつき」は主要な機構にトラブルを生じ、通常運用に失敗してしまいましたが、残った機能を活用して最低限のミッションをこなすことに成功しました。

世の中のもの全てに言えることですが、機械構成品に無故障・無欠陥の完璧を求めても、そんなものはあり得ません。世界に冠たるトヨタやホンダ車でも一定数のリコールは発生します。だからと言ってその対象車を運転禁止にしては世の中が成り立ちません。判明した不具合を是正し、不具合が発生しないような対策品と交換すれば良いのです。

今回の決定は重大事故が起こることを前提としていますが、重大事故に至らないようにコントロールするのが原子力規制委員会の役目であり、現状直ちに危険に結びつく状態ではありません。原発の安全性の妥当性については専門機関の領域であり、法律の解釈や違法の判断以外で法律家である一裁判官が踏み込むべきではないと考えます。

※ 過去、原子力関連の記事に対して執拗に異論をコメントしてくる方がいましたが、この記事はあくまでも一個人としての意見です。勝手ながらこの記事に関してのコメントは受付しないこととしますのでご了承ください。

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