X線天文衛星「ひとみ」と通信途絶
今年2月に打ち上げられ、高度580Kmを周回し本格的観測に向けて準備作業中だったX線天文衛星「ひとみ」と通信が途絶していることが明らかになりました。「ひとみ」は太陽電池によって必要な電力を得ていますが、何らかの異状によって衛星の姿勢が乱れ、発電量が不足しているものと見られます。
軌道上の物体を監視している米戦略軍統合宇宙運用センターは、協定世界時3月26日8時20分に、「ひとみ」から5つの物体が発生したと伝えており、「ひとみ」が内部爆発、またはスペースデブリによって破壊されたことも考えられます。これが事実であれば、爆発や衝突によって姿勢が変わってしまい、更に太陽電池パドル自体が損傷した可能性があります。
スペースデブリについては中国が2007年に自国の衛星をミサイルで破壊する実験を行ない、多数の破片を宇宙空間に撒き散らしています。人工衛星はおよそ秒速8Kmほどの速度で周回しており、仮に小石ほどの大きさであっても衝突すれば致命的な損傷を受けることになります。
今回のトラブルが中国の衛星破壊実験で発生した破片が原因かどうかは現時点では明らかではありませんが、もしそうであれば独善的な軍国主義が貴重な宇宙探査の機会を奪ってしまったことになり、断じて許せません。中国は2014年にも同様の衛星攻撃実験を行なっていますが、二度とこのような暴挙を起こさせないよう、国際世論が圧力をかけることが必要です。
X線天文衛星「ひとみ」 JAXA ホームページより
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