ファルコン9ロケットが軟着陸に成功
人工衛星の打ち上げには宇宙ロケットを使用しますが、その打ち上げ費用は100億円~50億円ほどと言われ、大変高額となっています。これはロケットは使い捨てで、打ち上げのたびごとに新しい機体が必要になるためです。これを解決するため何度も利用できる機体としてスペースシャトルが考案されましたが、再使用のための点検費用がかさみ、かえって使い捨てロケットよりも高くなると言う皮肉な結果になり、シャトル計画は打ち切りとなりました。
その後再使用ロケットの実用化に挑んでいるのが米国のスペースX社です。2段式のファルコン9ロケットを改修して次回の飛行に再使用をする実験を行なっていますが、今月9日に打ち上げた23号機で1段目ロケットを洋上の台船に軟着陸させることに初めて成功しました。実は前回の打ち上げでも台船に着陸させたのですが、この時は脚の部分が破損してロケットが倒れてしまい、成功とはなりませんでした。
ファルコン9の現在の打ち上げ費用はおよそ60億円と言われ、わが国が開発を目指しているH-3ロケットの打ち上げ費用の50億を上回っていますが、もし再使用が可能になれば大幅な削減が可能となります。
ところで再使用の分野ではファルコン9ロケットばかりにスポットが当たっていますが、実はわが国でも再使用ロケットの開発が行われています。現在のところは、まだ基礎的な段階ですが、推力40KNのターボポンプ式液体燃料ロケットを累計で142回燃焼と停止を繰り返し、積算で3785秒(63分)運転し、通算100回以上使用することを実証しています。
この技術を基にエンジン4基をクラスター化し、高度100~150Kmまでの高度に打ち上げが可能な再使用可能な観測ロケットを開発したいとしています。このロケットが実用化されれば、現在の2~6億円かかっている打ち上げ費用が数千万円台に引き下げることが可能になり、更に毎日のように打ち上げて観測することも可能になると言うことです。今後の再使用ロケットの開発状況が注目されます。
| 固定リンク
コメント